ジェットコースターなどの遊具っていくらするの? ー 遊園地はなぜ潰れるのか Part1

2018年8月22日

グリーンランド「観覧車」

こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。

この記事は、なぜ日本の遊園地は次々に潰れていくのか、というお話を経済面、人々からのイメージ、遊園地マニアとしての意見などを交えつつご紹介していくシリーズの第1回。

まずは経済面から核心に迫っていくために、この記事ではジェットコースターをはじめとした遊具の相場をご紹介していきます。いったいいくらあれば遊園地を作れるんだろう、という疑問にお答えしていきますよ。

知っていそうで知らないジェットコースターのお値段、おいくらくらいだと思いますか?

 

 

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1. ジェットコースターの価格

これはもう、サイズや内容によってピンきりですので、個別のコースターを見ていくしかないでしょう。

 

1.1 超大型コースター

ナガシマスパーランド「スチールドラゴン2000」全景

近隣エリアだけでなく、日本全国、場合によっては海外からも集客が見込める超巨大コースター。

巨額の投資が必要となる予感ですが、大体の相場を見ていきましょう。

 

アトラクションの価格を公開してくれる遊園地はいくつかありますが、中でも有名なのは世界的なローラコースターの聖地、アメリカ「Cedar Point」。

ここにある2000年製「ミレニアムフォース」は、高さ94.5 m, 最高速度 149.7 km/h, 全長 2010.2 mと、ナガシマスパーランドのスチールドラゴン2000」に比較的近いスペック。これでお値段が2500万ドル。日本円で30億円といったところでしょうか。ちなみに、スチールドラゴンはメーカー的にもっと安い可能性があります。このメーカーは高さ60 m級だと10億円ちょいですので。

世界3位の速度と世界2位の高さを誇る2003年製「トップスリルドラッグスター」も同じく2500万ドルです。

 

おなじく投資額を公開している、我らが「富士急ハイランド」。

こちらは

  • 高飛車 30億円
  • ええじゃないか 36億円
  • ドドンパ 30億円
  • FUJIYAMA 30億円

と、やはり30億円前後の価格帯。

ええじゃないかはやや高いですが、これはコース全体に渡ってライドの姿勢を制御する特殊な仕組みを導入しているため。実際にコースターに乗ってみると、あまりのメカメカしさに驚かれると思います。そりゃ高いわ。

 

というわけで、超大型コースターや変形型コースターは約30億円、ちょっと工夫をすると40億円前後になるみたいです

 

1.2 大型コースター

ナガシマスパーランド「アクロバット」ファーストドロップ

次に、これでも十分に主役を張れるであろう、大型コースターを見ていきます。

2016年にユニバーサル・スタジオ・ジャパンにオープンした「ザ・フライング・ダイナソー」といううつ伏せで乗るタイプのコースターは約100億円と言われています。ただし、同規模のSix Flags Magic Mountain「Tatsu」が1200万ドル、15億円弱ですから、USJの公表額は高すぎるようにも思います。

大体USJの「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」と同じくらいのスペックを持つ、Six Flags Over Georgeaの「Goliath」は2000万ドル、約22億円

東京ドームシティアトラクションズの「サンダードルフィン」よりやや大型の、Darien Lake「Ride of Steel」は1200万ドル、15億円弱です。

大型コースターの場合は、10億円~20億円規模といったところでしょうか。

 

1.3 中型コースター

グリーンランド「NIO」ハートラインループ

これでも首都圏なら電車で30分~1時間、それ以外なら車で1時間~1時間半くらいまで商圏として狙えるレベル。

大体全長1,000 m前後のコースターを見ていきます。

例えばループコースターの老舗、Arrow Dynamics社が1999年、アメリカのDollywoodに設置した「Tennessee Tornado」は高さ約50 m, 全長817 mというスペックで、800万ドル。10億円弱です。

中型にしては激しいループの多いコースターですが、アメリカのSilver Dollar Cityにある「Wildfire」は落差約50 m, 全長936 mで1200万ドル、13億円ちょいです。

ドイツのLengen Fieldにある木造コースター「El Toro」は高さ約25 m, 全長725 mで5.4百万ユーロ、約7億円

鈴鹿サーキット、那須ハイランドパーク、グリーンランド、ルスツリゾートなど日本各地の遊園地がこぞって導入した、Vekoma社製サスペンデッドルーピングコースターは10億円ちょっと

フランスDolancourtの「Alpina Blitz」は高さ33 m, 全長719 mで800万ユーロ、10億円ちょい。これは一体何が起きたのかわからないのですが、メーカーは違うのに東武動物公園「カワセミ」など、Intamin社製Mega-Liteという機種そっくりのコースター。ですので、こちらも金額は大体似たり寄ったりかと。

というわけで、最新鋭のコースターなら中型でも10億円規模、ちょっと古いタイプなら7, 8億円くらいで導入できそうです

 

1.4 ミニコースター

グリーンランド「スピンマウス」

子供向けから、ミニコースターならではのスリルを追求するものまで多種多様なミニコースター。

様々なタイプの価格を見ていきましょう。

まずは、スリルフルなライドが横回転するタイプ。ミニコースターの中では長めの全長424 mを誇るアメリカFarmington「Spider」は300万ドル、3億円ちょいです。ちなみによみうりランド「スピンランウェイ」類似型は3~5億円ほど。よみうりランド版はいろいろと工夫がされていますので、おそらく10~20億円前後かと。

ライドが縦回転する、ナガシマスパーランド「嵐」に近いタイプのコースターGrona Lund「Insane」は8億円ほど。これは大型コースター並みの集客力がありますから、別格ですね。

子供向けでも、最高時速50 km/h程度になってくると、やや高額。例えばアメリカAdventure Cityの「Rewind Racers」は2億円ちょい

としまえん「ブラワーエンジン」をやや大型にしたような、ベルギーBobbejaanland「Bob Express」は4億円ほど。

ミニコースターの定番、ワイルドマウス型は意外とお高め。ナガシマスパーランド「ワイルドマウス」同型機は、2機で5億円ほど。1機2.5億円くらいです。

お子様がまったり楽しむ系の、スウェーデンGrona Lund「Tuff-Tuff Taget」は4,000万円

大型ミニコースターという、一言で矛盾しているようなジャンルでは10億円近いものもありますので、ミニコースターの価格帯は数千万~10億円程度、といったところでしょうか。

 

1.5 番外編 ディズニーのコースター

ディズニーはかける金額が桁違い。

例えば、ディズニーシーの2005年製「レイジングスピリッツ」は80億円です。コースター自体は、おそらく普通の遊園地なら5億円もかからずに作れるレベル。ただし、ディズニーの半端ない客数を捌くために、ブロックブレーキという装置をあちこちに導入していますから、コースター単体で多く見積もれば10億円くらいでしょうか。

その他のお金はどこに消えたのか。コースターのコースレイアウトは、ディズニーランド・パリにあるインディージョーンズのコースターと全く同じですから、決して特注品ではないんです。

ということは、コースターの7倍以上もの金額をかけて装飾等をしているわけです。スゴい。

ちなみに、あまり物価が変わらない2000年に作られた東京ディズニーランド「プーさんのハニーハント」は110億円でできています。レイジングスピリッツの消えた70億円はホント謎。

 

1.6 番外編2 中古のコースター

遊園地が新しいコースターを設置したり、遊園地が潰れてしまったりすると、古いコースターが中古として販売されることがあります。

日本の今はなくなってしまったコースターも、アジア、南米、東欧などで今でも活躍していたりするんです。

そんな中古のコースター、まあり相場というものがなさそうです。

例えば、としまえんの「シャトルループ」のように、メンテナンスや運営費の問題から営業を終了したアトラクションは、すぐに撤去する必要がありません。こういったものはかなり高額での販売となります。

一方で、閉園となった都市型遊園地のコースターのように、跡地利用が既に決まっているような場合、オークションにかけられて激安で入札されることもあります。

狙って購入できる金額としては、定価の半分から最大で1/10といったところではないでしょうか。

 

 

2. 観覧車のお値段

グリーンランド「観覧車」

観覧車は、ほぼサイズでお値段が決まります。

よこはまコスモワールドの「コスモクロック21」やお台場パレットタウンの「大観覧車」など直径100 m級だと20億円~

東武動物公園の「エマさんのチーズ風車」や鈴鹿サーキットの「サーキットホイール」など、直径50 m級だと5億円~

さらに小型になってくると、数千万~数億円程度になります。

 

 

3. その他のアトラクションのお値段

浜名湖パルパル「メリーゴーラウンド」

3.1 メリーゴーラウンド

こちらは小型であれば、数百万円程度から購入できてしまいます。

大型遊園地に設置するクラスになると、数千万~数十億円。

どこまでこだわるか次第ですが、一般的な遊園地に設置する定員数十人レベルだと、数億円は必要でしょう。

 

3.2 ウォーターライド

古くは急流すべりやウォーターシュートに始まり、現在ではラフティングタイプまで、様々なタイプのアトラクションがあります。

このうち、例えば富士急ハイランドの高低差のあるラフティングタイプアトラクション「ナガシマスカ」は約11億円

通常の急流すべりであれば更に安く、数億円程度。子供向けの小さいものなら数千万円~なのではないかと予想されます。

 

3.2 それ以外のアトラクション

もはやここまでくると、調べても値段が出なくなってきます。

基本的には皆さんご想像の通り、おそらく大抵のアトラクションが数千万~数十億円クラスだと思われます。

ただ、こんな雑なまとめで終わるわけにはいきません。

コースター類などの金額を見ると、大体ディズニーの建設費の1/10くらいが相場のように思われますので、東京ディズニーリゾートのアトラクション建設費を見てみましょう。

 

3.3 東京ディズニーリゾートのアトラクション

・アリスのティーパーティー

1986年建設で5億円。こちらは規模が大きいのと、物価がやや変わっていますので、おそらく今遊園地に作っても数億円規模になるのではないでしょうか。

というわけで、コーヒーカップは小型なら数千万、大型だと数億円レベルではないかと。

 

・スター・ツアーズ

1989年建設で140億円。建物が大規模なのと、ライドが6機あることからこの値段になっていますが、ライド1機を屋外にポンと置くだけなら大幅に安くなるはず。

遊園地にシミュレーションライドを設置するなら、定員10人以下の小規模なもので数千万、大型で数億円といったところではないでしょうか。

 

・ミッキーのフィルハーマジック

座席は揺れませんが、様々な仕掛けのある4Dタイプのシアター。2010年建設で60億円。ただし、建物は流用ですので内装、シアターのみの金額だと思われます。

4DXシアターが数億円規模だと言われていますので、おそらく遊園地への導入もその程度になるのではないかと。

 

・タワー・オブ・テラー

2006年建設で210億円。桁が違いすぎてもはや何が何やらです。通常のフリーフォールタイプのアトラクションとは次元が違いすぎると思われます。

 

 

4. 結局遊園地はいくらあれば作れるのか

ここ10年以上、大型遊園地の開園がありません。

というわけで少し時代をさかのぼって、総工費を見てみることにしましょう。

 

例えば先日閉園した「スペースワールド」。

ここの総工費は380億円。1990年の開園から現在までに、消費者物価が約1.2倍に上昇していますから、現在のお金で450億円ほどでしょうか。

ちなみに土地は、当時の運営母体、新日鉄が持っていたものですので、おそらく建設費用のみの金額だと思われます。

 

続いて「東京ドームシティ」。

2003年に、かつての「後楽園ゆうえんち」跡地に作られた、温泉やショッピング施設と遊園地の複合型施設です。

温泉とショッピング施設+当時5つのアトラクションを建設した「ラクーア」エリアが総工費350億円。

「ジオポリス」エリアのアトラクションを後楽園ゆうえんち時代のものから全入れ替えした際の工費が50億円。

その他の小型アトラクション等も含めると、約500億円程度の規模ではないかと予想されます。

こちらは建て替えですので、やはり土地代は含まれていません。

 

例えば大小30のアトラクションを用意する場合。大規模コースターと小規模コースターであわせて35億、観覧車やメリーゴーラウンドなどの定番アトラクション10個ほどで約50億。

さらに子供向けアトラクション、レストラン、ショップ、チケットブース、スタッフエリア等々の建設費等々も考え合わせていきますと、300億~500億ほどはかかりそうですので、上記数字はかなり正確なものだと思われます。

 

一方、額の大きいものでは2001年開業の「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」は総工費1700億円

同じく2001年開業の「東京ディズニーシー」は総工費3380億円

いずれも土地代は含まれていないものと思われます。

と言いますか、大型遊園地・テーマパークの場合は自治体の政策もあり、かつ協力なしには建設できませんので、土地代には相場もへったくれもない状況かと。

 

ディズニーはちょっと別格としても、現代日本で大型遊園地またはテーマパークを作ろうとしたら、およそ300~2000億円ほど必要になると思って間違いなさそうです。

 

 

5. 遊園地を安く作る裏技

遊園地を安く作る方法はいくつかあります。

一番シンプルなのは、アトラクションを中古で揃えること。

安い出物が国内にあれば、小・中規模の遊園地なら数億円程度で作れてしまうかもしれません。

ただし、本体価格だけではなく輸送費、組立費用などもかかることをお忘れなく。

 

もう1つは、言い方は悪いですが遊園地を乗っ取ってしまうこと。

例えば過去に、赤字だった遊園地の運営だけを引き受ける、つまりアトラクションや土地代などの負債はない状態で営業をして10年近く黒字を出し続けた再建屋がいました。

経営が上手なのは良いことなのですが、その後にもともとの運営母体の都合で閉園という形になり、アトラクションだけはなぜか再建を引き受けた会社が貰い受ける、という形になったのです。

こうすれば、実質タダでアトラクションを入手できてしまうということ。

個人的には好ましくないやり口として受け止めていますが、詳しい方法などは以下の記事でご紹介しています。

 

 

6. 次に読むのにオススメの記事

遊園地を作るのにいくら掛かるのかわかったところで、続いては遊園地を一年間運営するのにいくら掛かるのか考えてみましょう。

以下の記事で、人件費やアトラクションの整備費用など、様々な経費を計算しています!

 

国内外の遊園地に関する記事、ローラーコースターに関する記事は以下のページにまとめています。

こちらからご希望の遊園地やコースターをお選びいただき、個別記事をご覧ください。