ナガシマスパーランド【嵐】は自由回転だけど強制回転!? 驚異のグルグルコースター
こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。
この記事では、三重県桑名市にある遊園地「ナガシマスパーランド」の人気四次元ローラーコースター「嵐」のレポート兼レビューをお届けしていきます。
「日本初上陸のフリースピンで、乗る度に回転が変わる」というのがウリのアトラクション。実はこれ、半分ウソだってご存知でしたか?
そんなコースターのメカニズムや乗車レポートなどを詳しくご紹介していきますよ!
爽快感: ★★☆☆☆
振動の少なさ: ★★☆☆☆
スリル: ★★★★☆
コースレイアウト: ★★★☆☆
楽しさ: ★★★★☆
総合得点: 80点
1. 四次元コースターってなんだ!? その歴史と「嵐」の概要
1.1 四次元コースターとは
「嵐」は四次元コースターです。と言われても、「なんのこっちゃ!?」ってな感じかもしれません。
浜名湖パルパルにある「メガコースター四次元」とは違いますよ。あれに四次元要素はありません。
四次元コースターというのは、通常の三次元の動きをするコースターに、座席の回転という1次元を加えたもの。
座席の回転というと、スピンコースターを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
事故を起こした東京ドームシティアトラクションズの「スピニングコースター舞姫」や、よこはまコスモワールドの「スピニングコースター」、グリーンランドの「スピンマウス」、那須ハイランドパークの「スピンターン」、東京ジョイポリスの「撃音ライブコースター」、よみうりらんどの「スピンランウェイ」などですね。当ブログでも、ウォルト・ディズニー・ワールドの「プライミーバルワール」などをご紹介しています。
しかしながら、このような座席が水平回転するタイプは四次元コースターと呼びません。これは単に慣例的なもので、特に理由は無いはず。水平だろうが垂直だろうが、回転軸は1次元ですからね。
ということで半分答えを言ってしまいましたが、四次元コースターというのは通常のコースターのコースを走行しながら、座席が縦に回転するもの。
ループがなくても天地逆さまになってしまう、なんとも不思議なコースターなんです。
2018年現在、日本国内にある四次元コースターは富士急ハイランドの「ええじゃないか」とナガシマスパーランドの「嵐」だけ。
どちらも実は同じメーカーなのですが、キャラクターが全く異なります。どんなふうに違っているのか、詳細を歴史とともに見ていきましょう。
1.2 四次元コースターの歴史
椅子に座っているだけのコースターって、どうしても動きに制約がありますよね。
例えば、落下するときって真下を向いた状態になりますが、これを仰向けにしたり頭から落ちるようにしたりはできないわけです。
他にも、箱の中に座らされている窮屈さや、それによる安心感。また、レールの上を走っているという制約があるのです。
つまり、感じられるスリルには限界があるってこと。
そんな限界を突破するために、コースター各社は様々な技術を開発してきました。
古くは「立ち乗り」型であったり、ぶら下がり型であったり、床のないコースターであったり。ただし、いずれも「下を向いて落下する」状態から脱却できてはいません。
そんな限界を打ち破った1つの形が、うつ伏せ状態で乗るフライングコースター。ナガシマスパーランドにも「アクロバット」という最新鋭のコースターが設置されています。
それでも感じられるのは「頭から落下する」スリルだけです。
では、一度の乗車で様々なスリルを体験してもらうには、どのようなコースターを作れば良いのでしょうか。
そう、座席をコースに合わせて回転させてしまえば良いのです。
ある場面では真下を向いて落下し、ある場面では背中から、時には頭からやお尻から。座席の向きをコントロールすれば、様々なスリルを一度に体験してもらうことができるのです。
こうして作られた世界初の四次元コースターが、アメリカ、ロサンゼルス近郊のシックス・フラッグス・マジック・マウンテンにある「X2」。「ええじゃないか」の原型となった機種です。
開発したのは、長年に渡って新しいループを開発し続けてきたアメリカの老舗Arrow Dynamics社。
ナガシマスパーランドにも、やはり往年の名機「コークスクリュー」が設置されています。
80年台には一世を風靡したArrow Dynamicsも90年台は他社に押されて落ち目となっていたのですが、起死回生をかけて開発した新型機が2002年のX2だったのです。
残念ながら同年にArrow Dynamicsは同じくアメリカのS&Sに買収されてしまいます。さらに2012年にはS&Sごと三精輸送機(現・三精テクノロジーズ)に買収されて、結局は日本の会社のグループ会社となりました。
ちなみに「ええじゃないか」設置はその間の2006年。レールの作製は三精のライバル、サノヤス・ヒシノ明昌(現・サノヤスライド)だといいますからややこしい限りです。
さてさて、そんな「ええじゃないか」型の四次元コースターは、とにかく乗っている人にとって一番怖い姿勢にしてやろう的な、スリルにすべてのステータスを振り分けてしまった的存在。
めちゃめちゃ怖いのですが、いろいろと犠牲になっているものがあります。
その最たるものがコスト。通常、「ええじゃないか」規模のコースターは新設するのに10億円~20億円ほどのコストがかかります。
が、「ええじゃないか」はその倍、35億円かかっているのです。
姿勢を制御するためにコースターが走行するレールの他に、もう1つ姿勢制御用レールがあったり、様々な電子制御が組み込まれていたりとコスト度外視で作製されている、とにかくスリル追求型マシンなのです。
これではよっぽどのスリルフリークが集う遊園地以外に設置することは望めません。世界普及機ではないのです。
そんなわけで2015年になって量産型の四次元コースターが登場しました。
シックス・フラッグス・フィエスタ・テキサスを皮切りに、現在まで7機が導入されているフリースピンタイプのマシンです。ちなみに、7機のうち6機がシックス・フラッグスグループ、残り1機がナガシマという状況。
フリースピンというのは、「ええじゃないか」のようにコースに合わせて座席の向きを変えるのではなく、機械的な制御をせずに座席は勝手に回りっぱなし状態のもの。
コースのちょっとしたうねりなどを使ってグルングルン座席が回転するタイプなのです。
S&Sが開発したこのタイプは、設置面積が少なくてすむこともあって、今後も導入が加速すると思われます。
似たようなモデルに、インタミン社が2007年に開発した「ザックスピン」というモデルがあるのですが、こちらはフラフラと不安定なブランコのような状態を楽しむもので、座席の回転は乗車1回につき1回あるかないか、というレベルですので今回は四次元には含めないことにしました。
1.3 嵐の概要とメカニズム
シックス・フラッグス以外では初導入となる、S&Sのフリースピンタイプである「嵐」。
その概要をご説明していきましょう。
基本的なライド自体は「ええじゃないか」をコンパクトにしたようなものです。
レールの横に座席が配置される「ウィング型」と呼ばれるタイプで、レールの左右それぞれに2席、合計4席×2両編成で8人が一度に乗車できるライド。
足はもちろんぶらぶら状態です。
嵐の特徴は、四次元であることの他に、レール一本分の幅で済む、その設置面積の小ささがあります。
こうしたレール一本分の幅のコースターというのは昔から需要があって、その歴史もまた深いものがあるのですが、そのあたりはウルトラツイスターのご紹介をする際にでもあわせて語ってみることにしましょう。
2列の座席には向い合せで座り、出発すると垂直の並びとなります。
このような座席配置ですので、前後はそれぞれ前向き、後ろ向きに進むことになり、乗車体験に大きな違いを生じてくるのですが、そのあたりはまた後ほど。
出発すると座席は自由に縦回転できる状態となります。コースの形状に合わせて座席がグルグル回りますので「フリースピン」というわけです。
なのですが、「乗車する際の重量バランスによって回転が変わる」かといえば、実はそうでもないのです。
その事実は乗ってみると嫌でも気付かされます。というのも、完全なフリースピンのみだと、最初の1回のアップダウンでは少なくとも落下が一度終わるまで回転し始めません。
しかしながら、嵐は1回目の落下時からいきなり2回も回転するのです。
「フリースピン」にしてはおかしい。
なぜこんな事が起きるのかと言うと、実は嵐は強制回転をかけているのです。
どうやらライドに磁石の円盤が付いているらしく、さらにレールの上に磁石のプレートを設置して、磁石同士の引っ張り合う力・反発する力を利用して回転させているようなのです。
落下のエネルギーの一部を回転のエネルギーに変えてしまっているのですね。
この強制回転の勢いで全体の回転数はほぼ決まりますので、乗車ごとの違いはほとんどありません。重量バランスによる違いは若干ありますので、何人かのグループであれば横に乗る組み合わせを変えてみると面白いかもしれませんけどね。
むしろ、座席位置による違いが大きい。
というのも、座席は前後で前転・後転がひっくり返る上に、スピードの違いからか回転のしかたが異なってきます。
さらに、レールの左側とレールの右側とでは強制回転ポイントが違うので、回転のしかたが変わります。
レールに対してスチールドラゴン側の座席は、超繁忙期以外はオープンしていないのが残念ですが、座席位置によって計4通りのスリルを味わうことができるのです。
全くおなじシックス・フラッグス系のコースターでも、オーバーテキサスとニューイングランドに設置されている機種は、コースレイアウトもおなじなのに、この強制回転システムがありません。何故……?? イッテQでイモトが乗車していたのもこのタイプ。
ちなみに、全5両のうち4両がコース上にあるこのコースター。4車両とも動かさないと最初のライドが乗降位置まで戻ってきません。
このため、どんなに乗客が少なくても、仮に1人であっても、4車両がコースを走ることになります。
閑散期にはなかなかな罪悪感を抱くことになる、不思議なコースター。このタイプはハケが悪いので、なんとか効率をあげようとした結果なのでしょうけど、なんとも不思議です。
2. 嵐の乗車レポートとオススメの楽しみ方
ライドに乗車し、安全ハーネスを下ろし出発の準備が整うと、ライドが少しだけ上に傾きます。
足を持ち上げて出発の準備をしているのです。サブレールのようなものを降ろしてきているので、回転を止めたり傾きを整えたりする機構がある模様。
そのまま出発して少し進み、そこで待機します。
一度の乗降で2車両が発車しますので、2台目に乗車した場合はここでしばらく待つことに。
ちなみに、他の車両が走行している間、レールはめっちゃ揺れてます。
まるでミニコースターのような、ゴワンゴワン、ガタガタという振動が古いミニコースター的で怖い。
出発すると、垂直に巻き上げ。前の座席はコース内側方向を、後ろの車両はコース外側方向を見ながらの巻き上げです。
36.6 mの高さに到達したら、ゆっくりと進み始めます。と思いきや、ここでいきなり1回転ちょっと。これが強制回転パワーです。
そのまま3回ほど小さなアップダウン+強制回転を繰り返し、大きく落下しながら方向転換。
さすがに大きな落下には強制回転は付いていません。レール中央に謎のマグネットプレートがあるのですが、これが何をしているのかはわかりませんでした。
方向転換したら2回ほど小さなアップダウン。ルーピングスター側に乗車していると、ここで1度強制回転が入ります。
さらにこのコースター最大のドロップを通過しつつ方向転換。スチールドラゴン側に乗車していると、ここで強制回転です。
少し登ったらブレーキが掛かり、ゆっくりと下りながら方向転換して乗車終了。
乗車した時のイメージは、車両の前側に座るか後ろ側に座るかで大きく違いました。
前に座ると、ひたすら前方にでんぐり返しをし続ける、ウルトラハードな回転マシーン。怖くはありませんが、グルグル回りすぎてキツいです。
後ろに座ると、後方にクルクル回りつつ、頭から落下したり背中から落下したり、なんとも不安定な姿勢での動きが続きます。こちらはキツさはそれほどでもありませんが、「ええじゃないか」に通じる怖さがあります。
どちらが良いかは好み次第ですが、個人的には四次元コースター特有のスリルを味わえる後ろ側が好み。閑散期なら、ぜひとも両方体験してみてください。
汎用機ではありますが、日本ではここでしか乗ることのできないマシン。
巻き上げを除けばわずか30秒程度の体験でしかありませんが、ありえないほどの疲労感とスリルをもたらす超ハードな一機。
ぜひとも一度は乗車してみてください。ただし、くれぐれも体調の良いときに。。。
そこらのコースターなら無限に乗車ループできる僕ですが、このコースターは2回連続が限界。ちょっと休憩を入れないと、連続乗車は厳しいレベルでした。
3. 次に読むのにオススメの記事
嵐は風に強いですし、雨でも比較的動いています。というわけで、ナガシマスパーランドは雨でも意外と楽しめる!
そんな情報を以下のページにまとめてご紹介しています。特に遠方からお出かけの方、特定の日程でしかナガシマに行けない方は、是非参考にしてみてください。
ナガシマスパーランドにあるアトラクションのご紹介は、以下の記事で行っています。
大型コースターについては別記事へのリンクもありますので、ぜひご参照ください。
その他、国内外の遊園地に関する記事、ローラーコースターに関する記事は以下のページにまとめています。
こちらからご希望の遊園地やコースターをお選びいただき、個別記事をご覧ください。
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