新シリーズ ローラーコースターの歴史 はじめます

2020年6月5日

シックス・フラッグス・ディスカバリー・キングダム「スーパーマン・アルティメット・フライト」

こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。

ローラーコースター関係の記事を書く際には、必ずそのコースターが作られた時代背景や技術的背景、あるいは地理的、経済的要因などを調べるのですが、なかなかそうした資料に出会えずに困ってしまいます。

実は英語ならそうした資料があって、非常に詳しく書かれているのですが、日本語だとなかなかそうした文献にお目にかかれない。そんなわけで、いつも英語で読む羽目になっています。

 

日本の文献というのは、大体は「遊園地」や「テーマパーク」といったくくりで書かれていて、主に経済的背景から語られることが多いです。

あるいは単に昔を懐かしむような話であったり、とにかく各論が多い。しかも国内の遊園地やテーマパークに限定して書かれてしまっています。

同じ時代に世界はどうだったのか、どういう歴史的つながりからそのアトラクションが生まれたのか。そういった世界の潮流をベースに書かれた文献が、あまりにも少ないように感じています。

 

そんなわけで、ちまちまとアメリカのamazon.comからローラーコースターや遊園地関係の文献を取り寄せて、いつの間にか有名所が手元に揃ってきてしまいました。ただ、いずれも絶版で中古でしか入手できません。

私は手放すつもりはありませんので、そうすると流通量はどんどん減ってしまって、いつか入手できなくなってしまいます。

おそらく遊園地やテーマパークの研究をする際に、あるいは単に気になって調べ物をする際に、日本語の文献がないことに困る方はいらっしゃるはずです。

また、どの文献を当たればよいのかわからずに困る方もいらっしゃるかもしれません。

無いものは自分で書けば良い。そしてそれが後々役立つなら、私にとっても嬉しいことです。

 

ただ、単純に歴史を淡々と書いていっても面白くありません。

読み物としても楽しめるように、私なりの解釈やものの見方、意見を織り交ぜつつ、それらと史実とはしっかりと分離できる形で記述していこうと思います。

また、せっかくwebメディアなのですから、ある程度階層化された形で、大まかな歴史の記事から細かな歴史の記事がぶら下がっているような形で書いていけたらな、と思っています。

主な参考文献は

  • “The Incredible Scream Machine – A History of the Roller Coaster," Robert Cartmell, Amusement Park Books, Inc. and the Bowling Green State University Popular Press (1987).
  • “The Amusement Park – 900 years of thrills and spills, and the dreamers and schemers who built them," Stephen M. Silverman, Black Dog and Leventhal Publishers (2019).

です。後者はe-bookもあるようですので、読んでみたい方はお試しください。

その他、日本の遊園地の歴史関係の本であったり、あるいはローラーコースターの設計関係の文献や論文、特許などを参考にしていきますが、それらは随時参考文献として記載します。

 

さて、このシリーズを始める前に、一つだけ考えておかなければならないことがあります。

それは、ローラーコースターの定義をどうするか、ということ。これを決めておかないと、対象が際限なく広がってしまうのです。ですが、これが意外と素直には決まりません。

まずはローラーコースターであるための必要条件を考えてみましょう。

  • ライドに車輪がついていること
  • 重力に従って速度が変化すること

は絶対に必要な条件です。ですが、これだけだと普通の鉄道も入ってきてしまいます。一方、「動力を使って走行しない領域が大半を占める」といった条件を入れてしまうと、子供向けのパワードコースターが外れてしまいます。

かと言って、移動を主目的としないこと、つまり「乗車と降車が同じ位置で行われる」という条件を入れると、一部のテーマパークのローラーコースターが外れてしまいます。

そこで、あまりやりたくはありませんが精神論を入れることにして、「乗客がスリルを味わうことを主目的としている」ことを条件にしておきましょう。観光用のトロッコ列車等で、やたらと高いところを走ったりするものに関しては、、、景観を楽しむことも目的になっているということでご容赦ください。

 

このままですと、まだウォーターシュート、例えばディズニーランドのスプラッシュ・マウンテンなどは車輪で走行して落下しますので、これまでの条件にはすべて当てはまってしまいます。そこで「車輪を使用せずに進行する領域がない」ことを条件に入れておきましょう。ということで水陸両用タイプのスリルライドはローラーコースターではなくウォーターシュートという分類にして、今回の範囲には含めないことにします。ちなみに、「レールの上を走行する」という条件を入れてしまうと、ボブスレータイプやスイスボブタイプなどと呼ばれる、ウォータースライダーのコースのような、断面が半円形になっているコースをレール無しで走行するローラーコースターが外れてしまうのです。

車輪のついたソリ、例えばグリーンランドのスーパースライダーもこれまでの条件に当てはまってしまいます。こうしたソリはブレーキを乗客が操作できますので、これらを除外するために「乗客が自ら減速を制御することはできない」という条件を加えましょう。ここに加速を入れてしまうと、関西サイクルスポーツセンターのサイクルコースターが外れてしまいます。さらに、乗客が自らという条件を加えておかないと、ブレーキ担当の乗員が乗車する、いわゆる「ブレーキマン」と呼ばれる古いタイプのローラーコースターも外れてしまうのです。

あともう1つ、移動せずに回転するタイプのアトラクションで、車輪を使用するもの(例えばメリー・ゴー・ラウンド)を除外するために、「規定のコースがあって、ライドの重心がコースに沿って動く」という条件を加えましょう。

これで一般にローラーコースターと呼ばれるものは含まれて、それ以外は除外できたのではないかと思います。(なにか思いついたら条件を追加するかもしれません)

 

以上より定義された、

  • ライドに車輪がついている
  • 車輪を使用せずに進行する領域がない
  • 重力に従って速度が変化する
  • 乗客がスリルを味わうことを主目的としている
  • 乗客が自ら減速を制御することはできない
  • 規定のコースがあって、ライドの重心がコースに沿って動く

乗り物をローラーコースターと呼ぶことにしましょう。

次回以降の記事では、この定義に従ってローラーコースターの歴史をご紹介していきます。

 

以下、公開済みの記事です。

夜明け前の世界 ー ローラーコースターの歴史1

搬送用設備の娯楽転用(19世紀) ー ローラーコースターの歴史2

世界初のローラーコースターは景色を見るのが目的だった!? ー ローラーコースターの歴史3