ディズニーはなぜ、面白いアトラクションを作れなくなったのか ー 補遺
こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。
以前「ディズニーはなぜ、面白いアトラクションを作れなくなったのか」という記事を、「ディズニーよりもユニバーサルのアトラクションのほうが面白いと思っている人の視点」から執筆しましたところ、多数のコメントを頂戴しました。おそらく記事の視点の違いから、私の主張た伝わっていないと感じられるコメントも頂戴することとなってしまいました。これは完全に私の文章力不足によるものです。そのまま記事を改定するだけでは、十分に意図をお伝えできないと思い、新たに記事を執筆することと致しました。
以前の記事の、もともとのコンセプトは、このまま行くとディズニーは世界トップのテーマパークブランドを維持できなくなる恐れがある、経営的に後退していく恐れがある、ということで、「どちらのアトラクションが上か」を論じるものではありませんでした。
以前の記事では、ユニバーサルのアトラクションが、いかにディズニーより優れているか、という視点で執筆しました。この記事では、逆にディズニーの最近のアトラクションに私が感じる違和感を論じていこうと思います。
1. アトラクションの肝は、体験者に「理解してもらう」ことである
テーマパークのアトラクションは、「体験」を売っています。
体験というのは、ライドの動きによる平衡感覚や加速度、速度等の感覚、視覚、聴覚、場合によっては嗅覚までも活用して、何らかの物語に乗せて伝えられるものです。
絵画や音楽、小説などと変わらない、むしろそれらを組み合わせた、ある種の大衆芸術です。
そこで大事になってくるのは、設計者がやりたかったこと、伝えたかったことが体験者に伝わって、感動を与えられるかどうか。
テーマパークの場合は、エンターテイメント大国のアメリカで育った産業だということもあって、資本主義の原理や経済性が根本にあります。
ということは、一部の人に理解されれば良い高尚な芸術ではなくて、広く色んな人に理解されるべき大衆芸術(造語です)なのです。
できるだけ多くの人に、そのアトラクションを体験することによる感動や、心を動かされるなにかを共有、理解してもらってなんぼの存在なんです。
ですから、アトラクションを作る側は、できるだけわかりやすく、理解されやすいように設計する必要があります。
ここまでは、あくまで私見です。以下ではこれまでの議論をベースに使っていきますので、以上の内容に同意頂けないようであれば、おそらく読んで頂いてもご理解いただけない内容になっているかと思います。その点、ご承知おきください。
2. ウォルトの思想 ー 「アニメーション」
ウォルトは子供向けだった漫画やアニメーションを、大人でも楽しめる大衆芸術へと昇華させた人物です。ですから、アトラクションであっても、人に想いを伝えるというのが非常に上手です。
ちなみに、ウォルトはおそらく、アニメーションの1つの形として、立体的な人形が音楽に合わせて動くオーディオアニマトロニクスを開発しています。劇場で絵が動くアニメーションを使うことも、自動で動く人形を使うことも、「命無いものにあたかも命があるかのように振る舞わせる(アニメーション)」という意味では同じですので、そこはシームレスに考えていたのではないかと思うのです。
そうしたオーディオアニマトロニクスを使って作られたのがディズニーランドですから、ウォルトにとってはアニメーション映画を作ることも、ディズニーランドを作ることも、同一線上にあったことなのではないかと思います。ただし、アニメーション映画はキャラクターたちが銀幕の中で活躍するものであったのに対し、アニマトロニクスは体験者と同じ世界の中で動き回る、という違いももちろん認識して、その特性を活かすような作りになっています。
そういう観点で見てみると、初期のディズニーランドのアトラクションは、ストーリーテリングが非常にうまいです。
例えば「魅惑のチキルーム」では、事前にプレショーを見せることで、これからどんな体験をするのかの説明をして、劇場へと入る動機づけを行っています。そのうえで、音楽に合わせてリアルに動き歌う鳥たちを見せることで、驚きと感動、音楽の楽しさと行ったものを味あわせてくれますし、ショーとしてストーリーもしっかりしています。ゲストは歌い喋る鳥たちの世界に入り込んだかのような感覚にさせてくれます。
「白雪姫…」は映画を知らずに乗車すると、何が起きているのかわからないアトラクションではありますが、「ホラーライド」という観点で見ると何かわからないながらも何者かに追われ、怖い、恐ろしい体験をしているという印象を体験者に残してくれます。あくまでゲストは主人公になって、映画の世界に入り込んで体験することを重視しているのです。(元の記事とはちょっと違う捉え方をしていますが、その理由は追々説明します)
ちなみに「ピーターパン空の旅」もウォルト時代のアトラクションではあるのですが、現在のものはウォルト時代のオリジナル版からリニューアルされてしまっています。当初本家ディズニーランドにあったのは、ピーターパンが登場しない、ゲストがピーターパン視点でネバーランドを飛び回るというもの。主観で物語を見る、「没入感」を重視した設計になっていたのです。
まだテーマパークというものが挑戦的で新しい取り組みであった時代の、成熟されていない表現技法でこれらの試みが成功していたかどうかはともかく、ゲストは物語の主人公であって、そう感じられるように没入感を重視したアトラクション設計をしていました。
一方で、ライドに乗車する動機づけや、ストーリーの説明が難しい、ローラーコースターや汽車などでは、あえてストーリーの説明を一切放棄しています。当時の技術ではローラーコースターにダークライド風のストーリーを付けてしまうと、途中で速度を落としてそれを見るだけのシーンが挟まってしまい、チグハグになってしまいますからね。むしろテーマだけを設定して、あとはライドの動きを楽しむように作られています。
おそらく一部のアトラクションで取られた、この「あえて説明しない」という手法であったり、成熟しきっていなくてわかりにくい表現が、(私から見ると)曲がった形で解釈されて、現代へのアトラクションへとつながっているのではないかと思います。
3. 継承者たちの思想 ー ストーリーテリング
ウォルトの死後も、ある時期までは同じようにしっかりと内容が説明されるアトラクションと、あえて一切の説明をしないアトラクションとの作り分けが続きます。
例えば東京ディズニーシー版の「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」では、ファストパス合流後のキューラインでライドに乗車するための動機づけが行われて、アトラクションのストーリーラインもかなりはっきりとしています。さらにライドの動きでリアリティを付与して、ただのストーリーテリングではなく、驚きと感動をもたらしながら物語の中に入ったかのような体験をさせてくれるアトラクションに仕上がっているのです。
少し時代はさかのぼりますが、旧版「スター・ツアーズ」もキューラインで丁寧に宇宙旅行の港であるという説明を行い、プレショー(説明動画)でもある種現代の飛行機のような形で、宇宙港間を移動するフライトを行う、という説明がされていました。そのうえで、ストーリーはものすごく脇道に逸れていきますが、わかりやすいストーリーとリアルなライドの動き、更にはオーディオアニマトロニクスまで使って、ただのシミュレーターライドではない没入感を与えてくれるのです。
こうしたアトラクションは、全てストーリーを「線」として伝えてくれます。そこにライドの動きやアニマトロニクスなどを駆使して、リアリティを付与してくれています。ストーリーの中に入り込んだ気分を味あわせてくれる。
こうしてわかりやすく伝えてもらえると、そのストーリーの線の周りに広がるお話を妄想したり、ifを考えたりして想像が広がっていきます。
アトラクションを楽しんで、更にその周辺に広がる「面」を感じて楽しんで。家に帰ってからも、もしこんな事が起きていたらどうなるんだろう、そのときに乗り物はどう動くんだろう、といったことを考えて楽しめる。
これこそがディズニーが大切にしているイマジネーションなのではないかと思います。そしてそれこそが、人々に伝わり、理解される大衆芸術としてのあるべき姿なのではないかと思います。
つまり、大衆芸術とイマジネーションには、ストーリーテリングと、それプラスαがもたらす没入感が重要になってくるのです。
4. 現在のユニバーサル・スタジオ
そういう視点で、現在のテーマパークの状況を見てみましょう。まずはライバルのユニバーサル・スタジオから。
これまでにも何度も取り上げている「ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービデゥン・ジャーニー」では、ライド乗車開始直後にハーマイオニーに魔法をかけられるという動機づけが行われて、その後も一本道でわかりやすい、テーマパークでは定番の巻き込まれ系ストーリーが続きます。それに合わせてライドは驚くべき動きをしながら、没入感の高い視野いっぱいに広がる映像も組み合わせて、物語の世界に入り込ませてくれます。
オリジナルが比較的古い「ジョーズ」でも、きれいな港町のボートクルーズに乗車するという動機づけ、ひたすらサメに襲われるというわかりやすいストーリーライン、周囲のものが動いたり爆発したりといった演出、船長の演技なども組み合わせて、しっかりと物語世界への没入を演出してくれます。
そもそもハリウッドのユニバーサル・スタジオは、スタジオのバックロットを見せるトラムツアーがウリだったこともあって、大衆芸術とはちょっと違うエンターテイメントを出発点としています。
にもかかわらず、多店舗展開を始めて以降(「ジョーズ」は2園目のユニバーサル・スタジオ・フロリダの開園時に設置されたアトラクションです)は、ストーリーの中に入り込ませてくれて、そのストーリーを「線」として伝え、体験者がその周辺に広がる「面」を感じ取り想像できるような、奥行きのあるアトラクションを作り続けているのです。
しかも、没入感を高めるために、随時全く新しいライドシステムを投入。往時のディズニーのように、ライドシステムからアニマトロニクスから映像・オーディオシステムまですべてを投入して、全力でストーリーラインの中に入り込ませて、物語を体験できるように仕向けてくれているのです。
ユニバーサルの課題は、世界の広がりをいかに見せられるか、というところだと思います。
「わかりやすさ」は流行るコンテンツの必要条件であって、十分条件ではありません。流行るコンテンツはおしなべて、キャラクターたちが体験者の頭の中で勝手に動き回るような、線の周りに広がる「広大な面」を想像させられるものです。
単純なダイナミクスだけではない、奥深く癖になるようなライドシステムであったり、短時間でわかりやすいながらもちょっとした余談を含むようなストーリーラインなど、もう一歩人の心に踏み込んだアトラクションが作られるようになると、無敵だと思います。本来は、これはディズニーが得意なところなはずなのですが…。
5. 現在のディズニー・パーク
一方のディズニー・パークはと言いますと、本来は創業者一族との関係も薄くなって、商業主義に走ってしかるべきなのですが、なぜかウォルトの思想を曲解したかのようなアトラクションを作っています。
例えば「トイ・ストーリー・マニア」は、なぜかキャラクターたちが登場する縁日のゲームを、ひたすら体験させられます。ストーリーはそもそも存在しませんし、ゲームとしては面白いものの、あくまで現実世界でゲームをしている感じでしかなくて、没入感がありません。大砲型のコントローラーさえあれば、家庭用ゲーム機で再現できてしまう気がしませんか? これは、「ならではの体験」が求められるテーマパークにとって、危機的な問題です。こうしたアトラクションばかりになってしまうと、家でできることをわざわざ外に出て、ゲームソフト一本分のお金を払ってまでやりに来てはくれません。
アメリカ2パークにある「リトルマーメイド」のダークライドは、別の問題を抱えています。こちらはホーンテッドマンションタイプのライドに乗って、リトルマーメイドの名シーンを回るだけ、というもの。各シーンをアニマトロニクスで再現した部屋を、順に回っていきます。アトラクションオリジナルのストーリーではありませんので、ただ映画を追体験するだけですし、それぞれのシーンに繋がりがありません。「ピノキオの冒険旅行」はまだ、視点をピノキオに変更した上で、シーンのつながりを重視していて理解させようという気があるのですが、「リトルマーメイド」は本当にバラバラのシーンを客観視点で並べているだけなのです。ライドシステムも旧来のもので、没入感などはなく、「わーキレイだねー」「こんなシーンあったねー」で終わってしまうアトラクションです。
あるいは各パークの新ファンタジーランドや上海にも導入された「七人のこびとのマイントレイン」では、ローラーコースターに禁断のダークライド要素を導入してしまっています。それもユニバーサルの「リベンジ・オブ・ザ・マミー」のようなうまく融合した形式ではなく、中途半端な形で。物語がありそうに見せかけて、なぜトロッコに乗り込むのかの動機づけはありませんし、コースターは突然走りはじめて、途中で鉱山の中で働く小人たちを見せられ、最後に白雪姫と一緒に踊るシーンを見せられるだけ。ライドシステムもトロッコがコースに合わせて横に傾く、最新のものを採用してはいますが、コース形状に合わせて傾いてしまうため、コースの傾きとトロッコの傾きの差が感じづらい残念なものに。
とにかく最近のディズニー・パークは、バックグラウンドストーリーこそしっかりと作り込んでいるものの、アトラクションではストーリーを断片的に、「点」としてだけ見せて、その間をつなぐ「線」を想像させるような形にしているものが多いのです。
それをイマジネーションだと考えているのではないかと思われるのですが、まるで絵本や紙芝居の絵だけを見せられて、そのストーリーを推測するという作業は、すべての人にできることではありません。
まして、テーマパークでアトラクションを体験する際には、意図的に物語を推測しようとしているわけではありません。
現在のディズニーのアトラクションは、無意識のうちに点と点をつなぐことができる人にだけ理解されて、その上で世界に入り込もうとする人にだけ感動を与えてくれるものになってしまっています。
それ以外の人にとっては、物語に繋がりがないため、世界にのめり込むことができず、しかもその世界とライドシステムや音響、アニマトロニクスなどがすべてチグハグに写ってしまうのです。その結果、アトラクション世界の周囲に広がる「面」を感じることもできなければ、そもそも「線」すら理解されません。点の周りにはものすごく奥行きの深い世界を見せようとしてくれているようなのですが、そもそも点と点がつながることも、その周りに世界があることも理解できないような人間にとっては、全く無意味なものになってしまいます。
私のように論理立てなければ物事を理解できないような人間にとっては理解できず、直感的に捉えることができる方で、なおかつその感度が高くなければ理解できない、高尚な芸術になってしまっているのです。
もちろん、そちらのほうが好みだという方もいらっしゃるでしょうし、線を明確に示してしまうよりも広い世界を感じられるという方もいらっしゃるでしょう。そういった方に向けた商売をするのであれば、そのままでも良いのかもしれません。
しかしながら、少なくともディズニーは上場している大企業で、市場経済の原理に則った運営をしなければならない会社です。しかも、アトラクションの設計以外の部分では商業主義に過ぎるように感じる部分もあります。
そんな会社が、ターゲットを絞り込んでしまうようなアトラクションを作ってはいけないのです。他社のほうが間口の広いアトラクションを作っている、ということになれば、お客さんが他社に流れてしまう恐れがあるのです。
そんなわけで、ディズニーはキューラインの待ち時間つぶしにゲームを設置するのではなく、アトラクション乗車に向けての動機づけとワクワクを盛り上げるようなキューライン、プレショー設計を行い、アトラクションの中でもしっかりとストーリーテリングを行う。さらに、ライドの動きや映像を、ストーリーテリングを補助するように使っていくべきで、そのためなら最新鋭で独創的なライドシステムを導入するなどの工夫をすべき、というのが私の考えなのです。
6. 終わりに ー 上海ディズニーランド版パイレーツ・オブ・カリビアンの課題
以前の記事に、「そうはいっても上海のパイレーツ・オブ・カリビアンはすごい、ユニバーサルにも負けていない、だからこれからもディズニーは楽しいアトラクションを作れる」といった趣旨のコメントを多数いただきました。
私自身、上海版を体験はしたのですが、積極的に語ることはしてきませんでした。それは、「中国語がわからない」から。翻訳を見ればおおよそはわかるのですが、英語や日本語と違って中国語の微妙なニュアンスまでは読み取れません。
そんなわけで、未だに仔細を把握しているわけではありませんので、おおよその流れだけを体験して語っていくことはご承知おきください。
さて、上海版パイレーツと好対照なのが、ユニバーサル・スタジオ・フロリダの「グリンゴッツ銀行からの脱出」だと思います。
グリンゴッツは2014年、上海パイレーツは2016年と比較的製造年が近くて、いずれもエリアの目玉として作られたアトラクションです。そしてどちらも映像主体で物語が進み、ライドも後ろに進んだり、といった変則的な動きがあります。グリンゴッツはダイアゴン横丁エリア込で約450億円、上海パイレーツは単体で約500億円と金額的にも近いです。
グリンゴッツは、まずキューラインで銀行内を見せてくれます。超リアルなアニマトロニクスが動いて、業務をする様子、豪奢な内装などを見ながら進むとプレショーがあり、これから何をするのかの動機づけが行われます。さらには映画さながらにエレベーターに乗車して、地下金庫の入り口へと移動。そこでライドに乗車します。
ライドはコースタータイプですが、映像に合わせてライドが水平方向に自在に回転します。自分は作品世界に入り込んでいますので、電撃を受ければライドは振動しますし、敵に薙ぎ払われればライドは加速エレメントを使って横方向に加速していきます。敵からのダメージを擬似的に喰らうのです。更にはレール自体がシミュレーターライドのように動いたり、まさに映像世界の中に入り込んだかのような感覚を味わえるのです。
これだけ盛り込んでいながら、やはりレールという制約からは逃れられずに、フォービドゥン・ジャーニーと比べれば今一歩という評価を受けてしまっています。ですが、このアトラクションは敵からの攻撃を受けるという、ダイナミックなインタラクションに成功したことに意義があると考えています。この手法を得たことで、今後制作するアトラクションも没入感を更に高めることができます。
一方、上海パイレーツは旧来のカリブの海賊と同様、キューラインでの動機づけは一切ありません。なぜか小型ボートに乗り込み、ある種漂流していくことになります。ジャックに巻き込まれる形でストーリーの中に入り込んでいきますが、そもそもなぜ自分がこんな小舟に乗っているのかわかりませんし、ただジャックが戦うところを傍観するだけでお話が進んでいってしまいます。敵からは敵視されることもなく、話しかけられはするものの映画におけるメタ発言のような違和感のあるものばかりでほぼスルーされてしまいますので、自分は物語の中にいるのか、傍観しているのかよくわからないのです。
ライドシステムの特徴は、ボートライドとしてははじめてレールを得て、リニアモーター駆動で進んでいく点。このため、ライドのタイミングに合わせた映像を見ることもできますし、前後が別のレールを走ることで自在に横を向いたり後ろを向いたりできます。これによって大型スクリーンを組み合わせられるようになったわけですが、あくまで傍観者のように通り過ぎていくだけで、シンクロした動作やレールから逸脱するような動きはありません。唯一、バックドロップだけは映像とシンクロしますが、明らかに映像からのタイムラグが発生してしまっている状況。
実は、レールを2本使ってライドの向きを制御するという手法自体は、決して新しいものではありません。しかも、それをボートライドに適用してしまうと、波に揺られるような動作を組み合わせて横に動くならまだしも、頻繁に横移動してしまうのはあまりにも不自然です。巨大スクリーンの没入感は高いものの、ストーリーとライドシステムの違和感が没入を阻害してしまっているのです。
比較対象を従来型のカリブの海賊、あるいは従来のディズニーアトラクションにすれば、「すげー」となるのは当然です。そういう意味では、大いに進化しています。
しかしながら、比較対象が他のテーマパークであった場合にはどうなるでしょうか。
市場経済に従う以上、来園者は他のテーマパークと比べながら、どのパークに行くのかを決めます。そんな中で、グリンゴッツと上海パイレーツの両方に乗った人が、ディズニーランドにもう一度行こうと思うでしょうか。その他の部分も含めた総合力でディズニーが勝ると判断する人は、まだまだ多いと思います。しかしながら、アトラクション単体で見たときに、ディズニーは十分な競争力を有しているでしょうか。
この点は好き嫌いを抜きにして、冷静に、かつ直感的にどちらが面白いかをしっかりと見ておくべきです。そしてディズニーが好きなら好きなほど、ディズニー・パークの永続的な発展を願って、改善を促す声を上げるべきだと思います。ただ熱狂的なファンが愛を叫び続けるだけで、競争に負けてしまっては元も子もありません。
ディスカッション
コメント一覧
記事の方読ませていただきました。
非常にわかりやすく何故近代ディズニーのライドが中途半端なのかという点が非常に読み応えがありました。
最後まで読んで一つ疑問に思ったのですが、何故フライトオブパッセージ・レジスタンス・ランナウェイレールウェイに触れていないのでしょうか?
どのアトラクションも何故ゲストがそこにいるのかをはっきりさせている、プレショーに大きな比重が置かれており没入感を高め世界観から置いてきぼりにしないと言う事にフォーカスが置かれていると私自身乗車して感じました。
確かにリトルマーメイドはかなり突貫感が感じられるあまり評価が高くないライドだと思いますが、現状上記にあげたような世界観への没入を意識したライドが多く誕生してる以上これだけを槍玉にあげてディズニー全体を批判するのはアンフェアであるとこの記事を読んで感じました。
このようなコメントをしてしまい大変申し訳ないです。
この記事自体は大変読み応えがあり面白かったです、これからも更新期待しています。
コメントをありがとうございます。
まず、この記事は2019年2月に書いた本編記事に寄せられたコメントへの回答である、ということをご理解頂きたく存じます。
その当時の記事をベースにしていますので、それ以降に作られたアトラクションに触れることはしていません。
さて、ご指摘の「ライズ・オブ・レジスタンス」については、以前の記事への回答でも申し上げましたが、間違いなく没入感の高い、非常に完成度の高いアトラクションです。これは現代のダークライドの中でも最高峰に位置することは間違いないでしょう。
シンプルかつわかりやすいストーリーラインもあって、極めて理解されやすく入り込みやすい作りになっていると思います。
ただ、これはスター・ウォーズのシチュエーションに、ディズニーお得意のトラックレスライドシステムが偶然ハマった結果だと思います。このライドシステムがハマるシチュエーションはかなりレアなので、ディズニーの一時的な集客には寄与しても、永続的な発展に貢献できるかというと、かなり微妙な存在だと思っています。
「フライト・オブ・パッセージ」は、ディズニーの問題が散見される典型例ではないかと思います。ライドシステムは、基本的にはオムニマックスと可動ライドの組み合わせで、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」以上でも以下でもない、と思います。(厳密には、ライドシステムとしては極めて複雑で、上下動や前後の傾きは3階建てのフロアをまとめて動かして、左右の傾きはライドが独立して動くというややこしい制御をしていますが、それはあくまで乗客数を増やすための工夫であって、乗車感には寄与していません)
バイク型ライドであることに新規性を見出すかどうか、というところですが、「ローラーコースターの歴史」の記事にも書きました通り、またがって乗るタイプのライド自体は120年以上前から存在しています。そのシステムを転用したTRONからの転用と考えると、日本市場ならともかくアメリカ市場でウケる新規性ではない用に感じています。
キューラインの作り込みに関しては、ご指摘の通り圧倒的なものがあります。が、ストーリーがあまりにも薄っぺらい(というかほぼない)ため、「没入する先がない」という状況です。アバターの世界を見て回る、ってもうまさに、ソアリンの映像をアバターに置き換えただけじゃないですか。ストーリーテリング以前の問題だと感じています。これを体験することで、「アバター」の世界の広がりを感じられるかというと、それもまた微妙です。アバター自体を知らないと、細かな設定まで理解ができないので世界の広がりを想像するに至りませんし、一方で映画を知っていればそれ以上の世界の広がりを感じられません。やはり、映画から一歩進んだストーリーラインをポンと一本おいてあげることで、そこからさらに想像が広がっていく、というのがあるべき姿なのではないかと思うのです。映画を追体験するだけのアトラクションは、往々にして魅力のないものに終わります。
「ランナウェイ・レールウェイ」は、やはり大型トラックレスライドシステムですが、「ライズ・オブ・レジスタンス」ほどの没入感は得られていないように感じます。
本来のストーリーラインは比較的わかりやすくて、プレショーの説明もしっかりしていると思います。その一方で、今度は表現の稚拙さが足を引っ張っています。
カートゥーンらしい表現を現実世界に立体化するという、2.5次元表現自体は比較的成功しているように思いますが、ライドシステムや空間との「つなぎ」がチグハグなのです。
大型トラックレスライドシステムは、ライドが大きくて、しかも各部屋の中を自在に動き回るため、どうしても「何もない床」がライドの周りに大きく広がってしまいます。これはパリのラタトゥイユ(余談ですが、なぜこれを今更エプコットに作るのか、理解できません)以来、解決できていない問題です。ライズ・オブ・レジスタンスでは、そもそも映画内でも「何もない床」が広がる造形が多い敵施設を舞台にしたため、それが結果的に演出とマッチングして没入感を高めていました。が、その他の大型トラックレスライドシステムでは、「映画の世界と現実との、超えられない大きな狭間」として「何もない床」が存在してしまっているのです。どうせなら旧来型のダークライドシステムにしてしまって、ライド周りの空間を狭めれば没入感が高まるのに。。。このあたりが、没入感ありきでライドはレールに固定してしまい、スクリーンをライドに近づけ、見るべきでないところは視界をライドで遮ってしまうユニバーサルとの違いです。
これはもう、明らかにライドシステムありき、技術ありきで作られたものであって、乗客の感覚に訴えかけるために作られてはいない、と言わざるを得ません。ストーリーや世界観、何を乗客に体験させたいか、というところから企画が降りてきていなくて、まずトラックレスライドシステムを使おう、というところから企画がスタートしているように感じてしまいます。そう考えると、日本の美女と野獣も不安で仕方ありません。
さて、フェアかどうか、という視点で語るなら、ライバルも同じ時期に作られたアトラクションを考えないと、フェアではありません。
ユニバーサルに目を向けますと、2019年には新ローラーコースター「ハグリッドのマジカル・クリーチャー・モーターバイク・アドベンチャー」がオープンしています。これは世界観にあわせてローラーコースターらしいスリルを抑えつつ、バイクっぽい動きを実現したり、魔法っぽい動きを実現したりしてはいますが、ライドシステム自体は既存のものの使い回し。世界観の作り込みもかなりしっかりしていますが、やはり映像を使えない分、屋内型コースターには敵わない印象です。フライト・オブ・パッセージよりはチャレンジしていると思いますが、ライズ・オブ・レジスタンスにはまったくもって及びません。
「ファスト・アンド・フュリアス: スーパーチャージド」は、おなじみのトラム型ライドの転用です。これはもう、ハリウッドにトラムがある以上仕方のないことなのかもしれませんが、トラム型ライドは周囲の映像が見にくいですし、シミュレーターライドとしても中途半端。このアトラクションに関してはストーリーの説明が長くて、延々とプレショーみたいな説明が続くので、かなり残念な印象です。こういう、「ただ場所を埋めただけ」というようなヒドいアトラクションが作られてしまう点は、ユニバーサルもまだまだ人が足りていないことを印象づけます。ニンテンドーに全力投球していたんですかね。
ライドではありませんが、ランナウェイ・レールウェイの比較対象になるのは「ボーン・スタンタキュラー」ではないかと思います。
常設劇場とユニバーサルの映像技術があるからこそできる、本当に目の前で疾走感のある映画撮影が行われているかのような演出はスゴいと思います。スタント技術の高さ、映像技術、ライドシステムの技術もあって実現できる、錯覚を利用した演出のおかげで、ショーとしては異様なほどの没入感が得られるようです。
ディズニーは実際のスタントを廃して映像主体のランナウェイ・レールウェイに切り替えたのに対して、ユニバーサルは映像主体でスタント少なめのターミネーター2から、スタントメインのショーに切り替えたあたり、対照的で面白いです。
いずれにせよ、ここ数年ユニバーサルがニンテンドーに全力投球していることは間違いないと思いますので、ここ数年のディズニーと比較するなら、各地のニンテンドーがオープンしてから議論するのがフェアなのではないでしょうか。さらに言えば、ディズニーはエプコットやハリウッド・スタジオの大幅リニューアル、東京ランド・シーの新エリアもありますので、それらが出揃ってから議論をするのがフェアなように思います。
結論としては、アトラクション更新が五月雨式に起こりますので、現在の大幅更新にかかる前を論じるなら2015~2016年頃までの議論とすべきで、現在の大幅更新を含めて考えるなら2022年を待つべきだと思います。
とりとめのない返信で申し訳ございませんが、今後とも当サイトをよろしくお願い申し上げます。
管理者: ricebag
記事の方を読ませていただきました。
ライズ オブ レジスタンスの件を除くとしても、「全くその通りだな」と思いました。
自分、関東住まいの高校生でして、海外のディズニーとユニバーサルにはもちろん行ったことがない、USJにも小学生の頃に2回だけしか行ったことがないという人間なのですが、それでも初めてユニバーサルのアトラクションに乗ったときは「あ、ディズニーのアトラクションとは明らかに違うな。こっちの方が圧倒的に面白い。(特にハリーポッター。当然マリオカートは未乗車)」と思ってしまうほどに衝撃を受けました。
もうあの衝撃を知ってしまうと、大抵の人が恐らく「ディズニーランドのアトラクションなんて乗れない!大学生、社会人になったらUSJにも積極的に行こう!」となるわけです。自分含めた家族全員もそうでした。
そんなことをいまだに思い続けている中ではありましたが、先日、ディズニーランドの新アトラクション「美女と野獣”魔法のものがたり”」に乗ってきました。
予想通り、ディズニーお得意のトラックレスライドに、インディやスパイダーマンのような横揺れ要素と座席の回転が加わっただけでしたが、明らかにライズオブレジスタンスとも表現技法やライドの挙動等が違いました。
確かにアトラクションの内容としては、プレスリリースでの発表通り、映画美女と野獣の名シーンを巡るアトラクションです。発表があった時自分は「まさかアリエルのアンダーシー・アドベンチャーやフローズン・エバー・アフターのような突貫感のあるライドをぶちこんで来るのか!? 全く期待できん…」と思ったのですが、蓋を開けてみたらそうでも無かった。
ストーリーテリング系のダークライドであるにも関わらず、何故ゲストがライドビーグルに乗り込むことになったのか以外の動機付けがしっかりなされており
(ライドビーグルに乗り込む理由は恐らくピノキオや白雪姫、リニューアル前のピーターパン同様、ゲストを映画内でのモブ召使いの目線で体験させることが目的でしょう)、また 映画を見たことが無い人のために、待ち列とプレショーだけで動機付けが出来るシーンのみを集め、それを噛み砕いてアトラクションに組み込んでいる印象でした。ストーリーの薄っぺらさは「映画の(ほぼ)完全再現だから」と言う言い訳で済むので、その点はアバターよりも優れているかもしれません。
また、アトラクション本編の演出は明らかにシアターのような演出方法だったので、「ライドアトラクションに乗っている」と言うかは、「座席が動くシアターでミュージカルを見ている」ような印象でした。
その演出ですが、今までのディズニーのアトラクションと決定的に違う点は、アニマトロニクスを主軸とする演出を見せることには重きを置いていない点だと思いました。今回の美女と野獣の場合、アニマトロニクス、照明、プロジェクションマッピング、そしてライドの動き全てが揃って初めて演出が成立している印象です。現在はコロナ対策のために全ての特殊効果を停止しているようなので演出の出来については何とも言えませんが、ダークライドの域を抜け出しかけているのは “ディズニーも多少は挑戦している” と言えるのではないでしょうか。
またライドの挙動についても、回転率向上のためにライドを複数台同時に動かしていることを逆手にとって動きが組まれているように感じました。最大で6台が同時に動くのですが、それぞれのライドの動き(走行経路だけでなく、座席の回転と横揺れ)は、”他のライドから見ると” まるでアニマトロニクスのようです。
しかし素人目に見ても問題点が散見さます。美女と野獣が好きな方々がよく仰られている「映画のあのシーンがカットされている!」というくだらないものではありません。
今回もやはりライドに問題がありました。
まず問題点1つめは、ライドのモーター音がうるさいことでしょう。本編の演出の都合上音が何もない状態でライドが動き出す時があるのですが、モーター音のせいでせっかくの無音演出が台無しです。恐らくこれに喜ぶのは絶対に音鉄だけです。
そして問題点2つめ。ビーグルが明らかにスリル系を名乗っておいた方が良いのではないかと思う程に揺れることです。しかも、ライドに乗っている自分達が踊っているかのように感じる揺れ方ではなく、他のビーグルから見たときに踊っているように見えるような揺れ方です。そのため、自分達にとってはただ揺れるだけ。それもインディと同じくらいの激しい揺れ。正直言って初見では雰囲気を感じることに全く集中できません。
問題点3つめは、車両詰まり対策が何も施されていない。ちょっとでも乗降がもたつくとすぐ詰まる。これはかなり問題だと捉えていいのではないでしょうか。要は車両詰まりを頻発する=完全版の演出を見せることが出来ないことが増えるということなのですから。
と、ここまで良かった点と悪かった点を乱立していったわけですが、少なくともUSJのアトラクションと比較できるくらいの没入感ではあったため(流石にハリーポッターには及ばない)、総合的に見るとディズニーにしてはかなり頑張った方なのかなと個人的には思っています。
ですが投稿主さんにとって今回のアトラクションは果たして悪くないアトラクションに属することは出来るのでしょうか?
文章力のない、しかもくだらないコメントで申し訳ありません。
記事は本当に読みごたえのある面白いものです。
時間があればまた拝見させて頂きます。
S.H.様
ご自身の体験も交えた、大変思いの詰まったコメントをありがとうございます。
なお、メールアドレスをご記入頂いていましたが、公開されてしまいますので削除しています。公開をご希望でしたらお知らせください。
わかりにくくて申し訳ないのですが、メールアドレスは空欄でもコメントできます。
ちょうど私も先日、5,000人制限のパークに行って参りまして、魔法のものがたりに2回(途中のシーンで先に進むライドと後から進むライドに両方乗れたので、2回で満足してしまいました)乗車してきました。
自分ではどうしてもうがった見方をしてしまうので、乗車後の周辺の声を聞いていると、「感動した!」「すごかった!」と興奮気味に話している方が多かったので、少なくとも現状では、オリエンタルランドが狙うターゲットに対して見事に訴求できているな、と感じました。
ちなみに今回シーでソアリンに乗車した際も、乗車中に歓声が湧いていて、終了後は拍手も起きていました。どうしても5,000人制限の都合で割合的にマニアが少なくなるためか、皆さん凄い楽しまれている印象です。こうした方々が本来オリエンタルランドが狙うべきターゲットだと思いますので、ソアリンでもまだまだ戦えるんだ、と認識を改めました。私が初めてソアリンに乗車したとき(おそらく今のS.H.さんと同じくらいの年代だったと思います)、評判の割に肩透かしを食らったような印象でしたので、その時からすでに、オリエンタルランドの訴求対象からズレてしまっていたようです。その一方で、やはりUSJと比較されてしまうと苦しいことに変わりはありませんので、あとはUSJがどれだけ広く国民を呼び込めるか、にかかっているのかもしれません。
さて、魔法のものがたりにつきましては、おっしゃる通りで異様に力の入ったプレショーのストーリーテリングがかなりしっかりしています。あれをいくつか組み合わせて、ミステリーツアーのようなウォークスルーアトラクションを組んでも良いんじゃないか、というくらいに。
その一方で、完全に映画のことを忘れて、頭を空っぽにして乗ってみますと、「なぜ突然、晩餐会がはじまるのか(ルミエールの説明だけだと、なぜ野獣にあった後、ベルが食堂にやってきたのかがわからない)」「なぜ突然、ベルと野獣は打ち解けたのか」といったシーンごとの「つなぎ」が甘いようにも感じます。やはり映画のダイジェストになってしまっていて、映画を知らずに乗車すると最初の2シーンは意味がわからないのではないか、と思います。(ライドの動きが激しすぎて、歌詞が頭に入ってこないこともあって。ちなみに今回、幼児連れで乗車しましたが、子供はなんてことなさそうでしたので、その塩梅はさすがです)
そして最大の問題は、やはり「間の悪さ」ではないかと。全てはあの狭い敷地に、あの長時間に及ぶアトラクションを作ってしまったことに起因します。おそらく「カリブの海賊」に匹敵する長時間ライドにして、1乗車での満足度を高めたい、短編映画を見たような「その世界に入り込んだ満足感」を与えたい、というコンセプトが先にあって、敷地と時間がまず制約になってしまった。さらにディズニーの大前提として乗車人数を最低でも1,000人/hは確保しなければならない、という制約もあります。さらにトラックレスを使うということが決まってしまうと、必然的に「シーン分け」が必要になってきます。一方で、お城を舞台とする以上、各シーンには「広さ」が必要です。そうなれば、シーン数が少なくなりますので、1シーンあたりの時間が伸びてしまいます。しかも、それぞれのシーンの長さを揃えておかないと、長いシーンがボトルネックになって回転率が落ちてしまいます。このため、2シーン目と4シーン目は異様に長くなってしまっています。個人的には、その「間」で現実感覚に戻ってしまいます。人によっては世界に浸れる方もいらっしゃるかと思いますが、万人受けではないかと。また、その間延びのせいで、意識がアニマトロニクスから外れて、他のライドの人と目があってしまったりします。なんか気まずいですし、これもまた現実を想起させます。
その間があれば、うまく演出を入れてシーン間の「つなぎ」を補間できたのではないかと思います。
ご指摘の通り、乗っていると自分が踊っているようには感じず、「謎の動き」になってしまっていることや、モーター音の問題もあります。私としては、4シーン目で角度によって、ベルと王子の足元に駆動用の穴が見えているのが気になりました。流石に今まで、アニマトロニクスがあからさまにアニマトロニクスとわかるような角度にはしていなかったと思うのですが、今回はなぜこうなってしまったのか不思議です。ライドに高さがあって、二人が低い位置にいるために見えているのですが、角度はもう少し設計できたのではないかと。
そんなわけで、私としては「インディのあの時代が帰ってきた!」とまでは行かないですし、トラックレスの新しい使い方を見つけたな、とも言えないかな、と思っています。ショー型の演出は面白いとは思うのですが、個人的にはスパイダーマンと戦って勝てるかどうか微妙なラインかな、と感じています。ただ、周辺の作り込み等も含めると、エリアでの気分の盛り上がりは、ハリポタ・ニンテンドーのないUSJには圧勝していると思います。
あの盛り上がりは、もともとの作品の良さと音楽に頼っているところが大きい。美女と野獣というコンテンツを使えるのはズルいです。
個人的に好きなのは、最後の下車プラットフォームの演出です。最後まで「終わり」を意識させず、「いつの間にか終わっていた」という形にしたことで、余韻がかなり強く残ります。ここのライドの動きだけで、かなり印象を良くしているように思います。
大変興味深い、また、H.S.さんの捉え方・感じ方がよく分かるコメントを頂戴しまして、ありがとうございました。いろんな方からご意見を頂けると、私としても大変参考になります。
今後とも当サイトをどうぞよろしくお願い申し上げます。
管理者: ricebag
こんな自分のコメントにわざわざ返信していただいて本当にありがとうございます!
ユーチューブの動画を見て魔法のものがたりを思い返していましたが、仰るとおりの、間の悪さ、そして繋ぎの甘さの問題が徐々に自分のなかで気になり始めました。
4シーン目のボールルームは動きがそれなりに激しいので、美女と野獣どころかディズニー、ひどい例だとテーマパーク自体に興味が無い人 (自分の学校のクラスにそういう人がいます) が2列目の端の席に座っていたとしたら、その人は縦G 横G 回転Gを感じられて、まぁ退屈はしなくても済むのでしょうけれども、2シーン目はただ部屋を1周した後に部屋の中央を回るだけですので、やはり退屈に思えてしまうかもしれません。コロナが終わった後にどのような特殊効果が追加されるのか……。
自分は今、新アトラクションという単語の不思議なパワーと、山寺宏一さんの声の力のお陰で本編中は終始大興奮、という感じなのですが、慣れてきたらもしかしたらその2シーン目と4シーン目の中盤は退屈してしまうかもしれませんね……
シングルライダーを使った暇潰し用アトラクションにならないと良いのですが……
(余談ですが、自分、ソアリンでは新アトラクションパワーの恩恵を受けることが出来ませんでした。わざわざ150分、いや、90分待ってすら乗るまでもないと言うのが率直な感想です。60分ならまぁジャーニーが止まってるなら乗るかな……。シーライダーですら新アトラクションパワーを感じられたのに、不思議ですね……)
1シーン目晩餐会の動機付けについては、プレショー後のQラインで召使い達の会話を盗み聞きすることで一応理解することが出来ますが、その演出は2分半周期で展開されるものであり、更に左の通常列に並ぶか右のシングルライダー列に並ぶかによって聞ける会話が異なります。
(左 ; 入浴中のポット婦人とチップによる、お城の呪いの解除の期限がすぐそこまで迫っていること、そんな中お城に初めて女の子が迷い込んだことについてと、そんな中でもベルを精一杯もてなす為に晩餐会を企画し、何がなんでもベルを参加させることを決めるという内容の会話。
右 ; 野獣とベルの大喧嘩を見るルミエールとコグスワースによる、お城の住民達は野獣を除き全員が呪いによって姿を変えられていること、そして野獣が怒りっぽい為に現時点でベルと打ち解けることは困難であるということについてと、そして呪いを解くこの絶好のチャンスを何としてでも活かすために、野獣に”女の子のハートを射抜く為のテクニック”を伝授することを決めるという内容の会話)
5000人ディズニーの際にそれらの演出をフルで見ることは困難と思われます。すぐに通り越してしまいますからね。やはり頭を空っぽにしてストーリーを理解したいのであれば、通常営業時の混雑している状態でリピートすることが必須と言えますね。
(自分は宣言発令前の “終日エントリー” “当たっても大体30分待ち” “プレショー後もそこそこ待つ” と言うときに2度乗車権を手に入れたので、それらの演出は一通り見ています。それでも1シーン目と2シーン目の雑な繋ぎは気になりますね。特にルミエールの “先にお城を廻っていて” という発言)
確かに今回のアトラクションは土地不足と言うのがかなり響いてしまいましたね。ですがどうしても「キャパシターを減らしてでも良いから少し部屋を狭くして、1シーン目と2シーン目の間、2シーン目と3シーン目の間に村人の夜襲のようなミニシーンを付け加えても良いのではないかな」とも思ってしまいます。現状での回転率に関しては通常営業時で1800人/hを捌けるはずなので、悪くないどころか、むしろかなり良いですから。
しかしこのアトラクションのお陰で、ファンタジースプリングスのアトラクションに希望が持てる気がします。このアトラクション、Googleマップで航空写真を見てみると、FS用の土地を露骨に避けて作られているのが分かるで、「あくまでも美女と野獣はランドのキャパシター調整用で緊急で作ったもの。本命はFS。」という勝手な推測を立てることができます。ラプンツェルは中規模アトラクションとのことなので置いておくとして、大規模アトラクションという位置付けのピーターパンとアナ雪がどう攻めてくるのか……。
このコメントの内容とは全く関係ないですが、将来良い大学へ行って、良い稼ぎの職に就き、そして世界中のテーマパークに行ってみたいものです(特にファンタジアランド)。そしてその上で日本のダークライドとの違いなんかも比較したら面白いかも。
何だか食い下がってるようで申し訳ありません。そして繰り返しになりますが、自分のコメントにわざわざ返信していただいてありがとうございました。
今後もこのサイトにお邪魔させていただきます。
S.H.様
そんなに卑下なさらず……。
むしろ、こちらこそネガティブな返答に、返信をいただきましてありがとうございます。
一応、ディズニー的にはストーリーは全部説明されるものではなくて、自分で補完しなさい、そうしてはじめてパークの世界に入り込める、というスタンスなので狙い通りだとは思うのですが、それにしてもちょっと説明不足ですよね。
実は、プレショー後のキューラインで、一度システムトラブルで止まりましたので、その間にシングルライダー側の声を聞いてはいたのですが、あの説明をあえて聞いて、アトラクションの内容と結びつけて考えようとするのは、一部のマニアだけですよね。
英語になってしまいますが、是非リスニングの勉強も兼ねて、”Harry Potter and the Escape from Gringotts”のキュー+プレショーの映像をご覧になってみてください。途中に会話をする人々が登場するには登場するのですが、基本的には世界観の補完+隠し情報的なことを話しているだけで、アトラクションストーリーの根幹に関わる部分は、全てプレショー(とエレベーター乗車前)で説明されます。こんな感じで、本来のアトラクションのストーリーはプレショー等で全員の頭に確実に入るように説明しておいて、アトラクションの背後や周辺世界に広がる情報をちょろっとした会話で補足する、というのが正しい(全員にとってわかりやすい、乗客の多様性を吸収できる)スタンスだと思います。
ただ、ライドの激しい動きそれ自体でそこそこ楽しめちゃいますし、華やかな雰囲気、プレショーのアニマトロニクスの凄さ、野獣が人間に戻る演出の面白さ(本質はミート・ザ・ワールドの奥行き表現や、ピノキオリニューアル版のブルーフェアリーと違わないはずなのですが、完成度が桁違い!)もあって、少なくともハニーハントやライド&ゴーシークと同列またはそれ以上に評価できるアトラクションだとは思っています。キューラインも良くできているので、90分までなら私も並びますし、朝一のファストパスで狙うならこのアトラクションだと思います。
問題は、ハニーハントから20年以上経過しているにも関わらず、同等+αレベルを抜け出せないことで。。。
ソアリンは、私は30分でもちょっと悩みます。富士飛行社乗れば良いじゃん、となってしまいそうで。メインアトラクションとイマイチ合わない、あまり面白くないプレショーと、その後の待ちが長いのも苦痛です。タワー・オブ・テラーといいソアリンといい、プレショー後の待ちが長いのは、個人的には頂けません。盛り上がった気分が落ちてきちゃう。
私もやはり、シーン間に走行しながら見るシーンがあっても良かったのではないかと思います。ハニーハントのように、2ツアー分のライドをオーバーラップさせても良いわけですから、「全シーン、ショー形式」という形にこだわらずにストーリーテリングを重視してほしかったです。オリエンタルランド的には、日本のパークはショー人気が高いので、ミュージカル形式のショーをそのままアトラクションにしてしまえば受けるだろう、という狙いがあったのかもしれませんが。それなら、ニューファンタジーランド全域をウォークスルーアトラクションに見立てて、映画序盤のシーンも何らかの形で再現してほしかったです。
ひとまず、アメリカのニューファンタジーランドから七人のこびとのマイントレインや、リトルマーメイドをそのまま持ってこなかったことは褒められますが、USJが大規模投資をしている中では、どうしても微妙……という評価になってしまいます。
FSは本当にうまくできると良いですよね。敷地的には大型アトラクション2+1だけでキツキツになるレベルなので、やや不安です。映像を多用できるユニバーサルに対して、アニマトロニクス主体のディズニーはアトラクションの空間効率が悪いですから。そしてやはり保守的なオリエンタルランドが運営する東京ディズニーには、なかなか全く新概念のライドを導入するのが難しいというのも不安要素です。
こればかりは、期待して待つしかありませんね。
世界のテーマパーク巡りには、給与に加えて休暇のとりやすさ、休日配置なども重要です。祝日休みの会社より、祝日は稼働で春・夏・冬の連休が長くなっているメーカー系のほうが海外には行きやすかったりしますので。結局「働きやすい」と言われる会社に入ったほうが、目的は叶えやすいかもしれません。いずれにせよ学歴は良いに越したことはありませんので、頑張ってください!
ちなみに日本にも、志摩スペイン村パルケエスパーニャをはじめとして、割としっかりとしたダークライドを備えたテーマパークはいくつかあります。是非、日本のテーマパーク巡りもお忘れなく。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
管理者: ricebag