世界最高ライド【ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニー】は何がスゴいのか

2019年2月20日

UORアイランズ・オブ・アドベンチャー「ホグワーツ城」

こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。

今回は、フロリダ州オーランドのユニバーサル・オーランド・リゾート2大パークの1つ、アイランズ・オブ・アドベンチャーをはじめとして、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンやユニバーサル・スタジオ・ハリウッドにもある「ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニー(Harry Potter and the Forbidden Journey)」は一体何がスゴいのか、遊園地のアトラクションマニアの視線からご紹介していきます。

 

この記事はオーランド旅行記の一部ではあるのですが、日本にもほぼ同型のアトラクションがあるということで、内容のご紹介は省いてしまいました。

その代わり、すごいすごいと言われるアトラクションのどこがスゴいのか、アトラクションのメカニズムや構造的な観点から明らかにしていこうという趣旨です。

ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーにまだ乗ったことがない方にも凄さが伝わるよう、そして乗ったことがある方にはどうしてあんなにスゴいのかがわかるように解説していきますよ。

 

オススメ度

 

  • 英語必要度 ★★★★☆ ストーリーラインは映像+音声で進みますので、正確な理解には英語必須(USJ版を除く)
  • 予習必要度 ★★★★☆ キャラクターやクィディッチなどのシステムを知らないと、ストーリーはサッパリかも
  • オススメ度 ★★★★★ 紛うことなき世界最高ダークライドです。是非体験を!

 

激しい揺れのあるスリリングなライドですので、そういったライドが苦手な方にはオススメできませんが、少しでも乗ってみたいと思える方なら是非体験を。驚きのあるリアルな動き+映像+アニマトロニクスで確実に楽しませてくれます!!

 

 

 

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1. そもそもハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーとは何か

まずは、ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーとは一体何なのかというお話から進めていきたいと思います。

このアトラクションは、オーランドのユニバーサル・オーランド・リゾートにあるパークの1つ、「アイランズ・オブ・アドベンチャー」というパークに、「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」というエリアを開業したのと同時にメインアトラクションとして2011年に導入されたものです。

当初のウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッターは、「ホグズミード村」と「ホグワーツ城」からなっていました。このうちホグワーツ城の中に、このアトラクションがあります。

UORアイランズ・オブ・アドベンチャー「ホグワーツ城」
ホグワーツ城の外観。日本のものと比べるとやや小ぶりですが、それでもやはりディテールがスゴい!

The Golden Ticket Awardsという、各ジャンルのアトラクションについて世界一を決める賞があるのですが、このダークライド部門では2013年まで13年連続で「アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン」が受賞し続けていました。

ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーは2014年にこれを破り、「世界最高ライド」を名乗り始めたのです。

その年の新アトラクションのうち、優れたものに贈られるTEA Awardは2011年に、アトラクションとして、また、テクノロジーとしても受賞しています。

Theme Park Insider Awardsでも2010年の新アトラクション賞を受賞。各賞を総ナメにしたスゴいアトラクションなのです。

 

2014年にはユニバーサル・スタジオ・ジャパンに、2016年にはユニバーサル・スタジオ・ハリウッドに同じようなエリアが開業し、いずれもメインアトラクションとして設置されました。

それぞれに違いがあってちょっとややこしいのですが、現在の違いをまとめると以下の通り

 

  • オーランド版: フルHD, 2D
  • USJ版: 4k, 3D
  • ハリウッド版: 4k, 120fps, 2D

 

ということで全部良いとこ取りのバージョンは無いのですが、リアリティでいえばハリウッド版、3Dを取るならUSJ版といったところでしょうか。

 

その後、オーランドには「ダイアゴン横丁」エリアがお隣のパークに作られて、そちらにはコースター+シミュレータータイプの新アトラクション「ハリー・ポッター・アンド・ジ・エスケープ・フロム・グリンゴッツ」が2014年にオープン。

ホグズミード村とダイアゴン横丁の間は、超リアルに再現されて内部ではハリーたちの息遣いまで聞こえてきそうなアトラクション「ホグワーツ特急」で行き来できるようになりました。

 

さてさて、話をハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーに戻しましょう。

ハリーたちと一緒に空を飛び、ホグワーツ城周辺の探検をしたりクィディッチに参加したりするこのアトラクション。

ライドの基本的な構造自体は、東京ディズニーランドで言うところの「ホーンテッド・マンション」や「バズ・ライトイヤーのアストロブラスター」のように、常時動き続けるタイプの乗り物です。

ただし、動きは全く異なります。

ライドは単なる「乗り物」ではなく、ロボットアームの上に乗っかっています。映像やアニマトロニクス(動く人形)を見ながら、上下前後左右に大きく動いたり傾いたり、時にはひっくり返りそうになったりするわけです。

では次に、こうすることで一体何がスゴくなっているのか、見ていきましょう。

 

 

2. ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーはライドシステムがスゴい!

ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーのライドシステムは、

 

  • 動きのシミュレーションにロボットアームを採用した
  • 常に動き続けるダークライドなのに、自分専用の映像が視野いっぱいに広がる

 

という2つのポイントで革新的です。

このそれぞれについて、詳しく見ていきましょう。

 

2.1 ロボットアームを採用したのがスゴい!

このライドの、まるで本当に空を飛んでいるようにしか感じられない不思議な動きは、ロボットアームを採用したことによって実現されています。

従来、動きをシミュレーションすると言えば、

 

  • ライドがガタガタ揺れるタイプ(スター・ツアーズ、バック・トゥ・ザ・フューチャーなど)
  • ライドがクルクル回るタイプ(SEGA R360, cyber space mountainなど)

 

といったタイプがほとんどでした。

 

後者のライドがクルクル回るタイプというのは、あまり馴染みがないかもしれませんが、かつてゲームセンターなどに置かれていたこんなタイプです。

SEGA R-360
SEGAのR360。この他にも同じようなシステムを採用したゲームセンター向け筐体が幾つかあります。

これは前後にクルクル、左右にクルクル、360度回転できますので上下逆さまな状態を含めてあらゆる体勢をシミュレートできるマシンです。

 

いずれも上下前後左右に平行移動することはできませんので、「フワッと浮く感覚」や「スピード感」を表現することが苦手でした。

このうち、スピード感については新たな世代のシミュレーションライドが登場したことで解決しています。

それが、「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」や「アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン」などのダークライドとシミュレーションライドを組み合わせたアトラクション。

ライド自体が実際に走り回りながらガタガタ揺れることで、スピード感とリアルな動きの両方を楽しむことが可能になったのです。

 

しかしながら、「フワッと浮く感覚」については未だ再現できていません。

1つの解は、エスケープ・フロム・グリンゴッツのようにコースター的な動きとシミュレーターを融合することなのですが、それだと速度が早すぎて映像を見せることができない、というジレンマを抱えていました。

そんな中、これらを解決し得る技術が2001年頃に開発されます。

なんと、工業用のロボットアームの先端にイスをくくりつけたようなシステム

ロボットアプタイプのシミュレータ第一世代
第一世代のロボットアームタイプシミュレータ。画像は”https://en.wikipedia.org/wiki/Harry_Potter_and_the_Forbidden_Journey”より

長いアームを使うことで、人間の体がしっかりと上下左右に振られる感覚を実現できたわけです。

基本的には関節の回転だけで動きを表現しますので、上で述べた2種類のシミュレーションライドのうち、「クルクルタイプ」に近い形です。

が、アームを使うことで、「クルクルタイプ」の弱点だった重心が動かないままクルクル回っている感覚を解決しています。

 

このシステムを使ったアトラクション自体は、2004年頃から世界各地のレゴランドを皮切りに導入され始めています(日本のレゴランドは未導入)。

その名を一躍有名なものにしたのは、2009年にウォルト・ディズニー・ワールドのエプコットに導入された「Sum of All Thrills」というアトラクション(2016年に撤去)。

ライド自体にモニターをくくりつけて、ジェットコースターに乗っているかのような体験ができるシミュレーションライドになっています。

しかしながら映像は旧世代のもので、現代のゲームセンターにある体験ライド以下の出来。

到底「その世界に入りこんだように感じられる」ようなアトラクションではありませんでした

 

ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーでは、このようなロボットアームシステムのうちアームを短くしたものを採用して、さらにスパイダーマンなどで培ってきた映像技術と組み合わせたダークライドを作っているのです。

これによって、映像に合わせた驚くほどリアルな動きと、スピード感や空を飛ぶ感覚まで再現できているわけです。

 

2.2 常に動き続けているのに視野いっぱいに映像が広がるのがスゴい

Robocoaster-G2
実際にフォービドゥン・ジャーニーで採用されているものと同型の機種。干渉を避けるため、アームは短めになっています。画像は”http://www.robocoaster.com”より引用

上にも書きましたように、いくら動きがリアルだとはいえ、それだけではハリー・ポッターの世界に入りこんだような、没入感のある体験はできません。

リアルな映像や、人形であるアニマトロニクスを人形だと感じさせないような演出が重要になってきます。

 

リアルな動きと没入感のある映像を組み合わせようと思ったら、通常は巨大なスクリーンを用意して、その前でライドを動かすような形式を取ります。

ディズニーで言う「ソアリン」や、ユニバーサルの「バック・トゥ・ザ・フューチャー(含ミニオンズ、シンプソンズ)」のような形式ですね。

しかし、こうした形式にロボットアームを組み合わせようとすると、ロボットアームの可動域が大きいので、ロボットアームを囲むようなドーム状のスクリーンが必要になってきます。

アーム1台1台にそれを囲むようなスクリーンを作るのは非効率ですし、乗り降りにも時間がかかってしまいます。

ドーム型Robocoaster
ドーム型アトラクションの例。小規模遊園地ならまだしも、ユニバーサルで、しかも超人気コンテンツのアトラクションで計画するには効率が悪すぎます。画像は”http://www.robocoaster.com”より引用

 

そんなわけで、ユニバーサルとロボコースター(ロボットアームの開発元)はロボットアームをダークライドの上に乗っけてしまったのです。

ダークライドというのは、ディズニーでいえば「ピノキオ」や「白雪姫」、ユニバーサルなら「E.T. Adventure」に代表される、建物の中をライドに乗って見て回る形式のアトラクション。

しかも、ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーでは、ダークライドの中でも最も古典的な「常に動き続ける」タイプのライドを採用します。

ディズニーの「ホーンテッド・マンション」や「バズ・ライトイヤーのアストロブラスター」でおなじみの、乗り降りの間も動き続けているタイプです。

UORアイランズ・オブ・アドベンチャー「ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニー」ライド
実際のライド。これがロボットアームの先端にくっついていて、しかも常時横方向に動き続けています。画像は”https://en.wikipedia.org/wiki/Harry_Potter_and_the_Forbidden_Journey”より

 

常時動き続けるタイプは、乗降効率が良いということと、アトラクション中の仕掛けとライドの位置とのタイミングを合わせやすいというメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。

乗降に時間のかかる方がいた場合や、係員がミスをした場合などにアトラクション全体が停止してしまうのです。

そんなデメリットが有りつつも、この常時動き続けるタイプが採用されたのは、アトラクションの中でロボットアームが大きく動き回るからでしょう。

他のロボットアームが見えやすくなってしまったり、ロボットアーム同士が干渉、場合によっては衝突してしまうことを防ぎつつ、効率よくお客さんを捌くためのシステムだと思います。さらに、以下に述べるようにスクリーン配置間隔との関係もあります。

 

常に動き続けるタイプを採用してしまうと、今度は没入感のある映像を用意するのが大変です。

ライドが動き続けているので、ただ1枚のスクリーンに映像を表示しただけでは、すぐにライドが通り過ぎてしまうのです。

ということで、ユニバーサルは先ほど示したような、ドーム状のスクリーンをライドに合わせて動かしてしまったのです

円形のレールの上に6つのドーム状スクリーンが外を向いて乗っかった状態で動き続けていて、ライドはそのスクリーンに向かった状態で動き続けている、というイメージです。

Robocoasterのターンテーブル上スクリーン
ライドも、スクリーンも同じ速度で動き続けることで、ライドは常にドーム型スクリーンの中にいることができるのです。画像は”http://www.robocoaster.com/media/”より引用

プロジェクターもこれに合わせて動かなければなりませんので、かなり大掛かりな連動機構になります。

これだけ大掛かりな装置を使ってはじめて、まさにハリーポッターの世界の中に入りこんだようにしか感じられない、あの不思議な体験ができるのです。

ライドが常に動き続けているのに、視界は全て映像になっている状態。本当に革新的なシステムです。

この動くプロジェクターによる映像が3箇所もあるのですから、想像しただけでもコストがヤバいです。

 

これだけの仕掛けを使ったことで、アトラクションが途中で停止することがなければ1時間で2500人、1日12時間で3万人という凄まじいキャパシティを持つアトラクションに仕上がっているのです。

 

 

3. ダークライドとしてもスゴい

このアトラクションは、映像がもちろん最大の見所なのですが、その間に挟まるアニマトロニクスセクションも見どころの1つ。

やたらとリアルに動き、火まで吹き出す(実際にはスモーク+ライティングによる演出)ドラゴンや、巨大なクモなどが見られます。

 

おそらく、こうしたアニマトロニクスの設計や表面の装飾などに関しては、ユニバーサルはすでにディズニーと同等かあるいはそれ以上の技術を持っています。

が、やはりあくまで人形に過ぎません。特に大型のアニマトロニクスは間近でマジマジと見られてしまうと、アラが見えてしまう可能性もあります。

ディズニーはそもそもがデフォルメしたキャラクターなのでなんとでもなるのですが、ユニバーサルの場合は実写映画がベース。

単にそのまま見せるだけではどうしてもリアリティにかけてしまいます。

 

そこでこのアトラクションでは、暗闇の中で一時的なライティングによってアニマトロニクスを見せたり、その間はライドを激しく動かしたり、といった工夫で乗り切っています

パット見にリアリティのあるアニマトロニクスと、リアリティを補う「パット見しかさせない」演出でリアリティを担保しているのです。

 

それでもやはり、映像部分と比べれば体験として劣る「ダークライド部をなぜ作ったのか」という疑問は残ります。

これは、最新鋭のライドシステムを最大限に活用するためなのではないかと思っています。

映像部は、どうしてもドーム形状のスクリーンの範囲内でしかライドを動かすことができません。

ロボットアームシステムはダイナミックな動きが魅力ですから、映像だけでは迫力あるライド体験を十分に提供することが出来ないのです。

そこで、動きに成約のないダークライド部を作ることで、ひっくり返ったり激しく揺れたり、といったロボットアームの特徴をフルに活かした体験を提供できる、というわけなんです。

 

 

長くなってしまいましたが、ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーは一体何がスゴいのか、そのポイントをご紹介してきました。

すでにこのアトラクションを体験された方は、一体どうやってあんなスゴい体験を作り出していたのか、ご理解頂けたのではないかと思います。

まだ未体験の方は、大阪でもオーランドでも、ハリウッドでも体験できますので、是非一度体験を!!

アトラクションの内容的に、乗る前にハリー・ポッターの内容をおさらいしておいたほうがベターです。小説と映画の両方が理想ですが、時間がない方は映画だけでも!

 

 

3. 次に読むのにオススメの記事

2017年のオーランド旅行でこのアトラクションに乗車した際は、このあとジュラシック・パーク・ザ・ライドなどに乗りつつ、オーランドにしかないアトラクション「スカルアイランド: レイン・オブ・コング」に乗車しました。

72人乗りという大型のトラムを使ったアトラクションなのに、揺れも映像も超リアルで、まるでキング・コングの世界に迷い込んだかのような体験ができるんです!

詳しくは、以下の記事でご紹介しています。

 

この日は、わずか9時間しかオープンしていない中でUSFとIOAの両パークをまわりました。

様々なアトラクションの個別記事と、どんな時間にどのくらい回れば良いのかという指標を、以下の記事にまとめています。

 

今回のオーランド旅行に関するすべての記事は、以下のページにまとめています。