キャナルシティにもあった! 【福岡ジョイポリス】営業当時のマップ復元&アトラクション紹介 ー 今はなき遊園地のマップ復元シリーズ8
こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。
この記事では、かつてキャナルシティ博多内に5年半だけ存在した屋内アミューズメント施設「福岡ジョイポリス」営業当時のマップを復元しつつ、各アトラクションの詳細情報をご紹介していきます。
- キャナルシティにはディズニーも入居し、屋内アミューズメントの聖地になるはずだった!?
- 狭いながらも個性あふれるアトラクション群。その驚きの内容
- なぜ5年半で潰れてしまったのか
1. キャナルシティと屋内アミューズメント施設
キャナルシティはカネボウの工場跡地を再開発して作られた、福岡市中心部の複合商業施設。
ショップ、ホテル、映画館などが入った巨大商業施設で、オープンは1996年4月。
計画はちょうどバブル期に行われていますので、かなり贅を尽くしたと言いますか、趣向を凝らした建物によく練られた動線で、実用的かつ見た目にも美しい建物です。
そのキャナルシティのオープニングテナントとして入居していたのが福岡ジョイポリス。
センターウォークと言われる部分の4階、5階に入居していました。
実はこのキャナルシティ、ディズニーのテーマパークが入居する予定もありました。
以下は、東京ディズニーリゾートを運営する株式会社オリエンタルランドの「株主通信2007年春夏号」からの引用です。
「さらに、ディズニー社とのパートナーシップを一層強化し、共同での事業展開を検討中です。現時点で本格的な検討段階に入っているものは、『都市型エンターテイメント施設』に関するプロジェクトです。この施設は、ディズニーならではの演出が施された屋内型エンターテイメント施設で、2010年度以降、大都市中心部(関東圏以外)での開設を健闘しています。」
この、「都市型エンターテイメント施設」の入居先として有力視されていたのが、キャナルシティ博多の新館(2011年開業のイーストビル)だったのです。
結局、不況の影響やオリエンタルランドの方針転換もあってご破算になってしまいましたし、その頃にはジョイポリスはとうの昔に撤退していましたが、両方が生き残っていれば日本最大の屋内エンターテイメント集積地になっていたかもしれません。
本筋とはそれてしまいますが、アメリカのディズニーパークが運営していた屋内アミューズメント施設に「ディズニー・クエスト」というものがありまして、その中身はジョイポリスに似通ったものでした。
2. 福岡ジョイポリスのマップとアトラクション詳細
それでは、福岡ジョイポリス営業当時のマップを復元して掲載します。
福岡ジョイポリスは、商業施設の中の2フロア。
条件としては、福岡ジョイポリスの半年後にオープンする新宿ジョイポリスとほぼ同じです。
しかしながら、観客に魅せるアトラクションが多かった新宿ジョイポリスに対して、福岡ジョイポリスでは体験者にしかわからない「閉じた」アトラクションが多いという特徴があります。
これは半年早いという時期的なものとともに、来場者数の見積もりが新宿ジョイポリスと比べて大幅に少なかったのではないかと思われます。
それでは、アトラクションを細かく見ていきましょう。
とはいえ、他のジョイポリスにも設置されているアトラクションが多いこの施設。
- アクアノーバ
- ゴーストハンターズ
については新宿ジョイポリスの記事を、
- グランディッシュの館
- 聖サスペリオ女学院
- VR-1
- フォーチュンミュージアム
については横浜ジョイポリスの記事を御覧ください。
特に、VR-1は1996年という時代からヘッドマウントディスプレイによる360°視界+シミュレータライドの組み合わせで現在から見ても最先端のVRを実現していたアトラクション。必見ですよ。
ここでは、福岡ジョイポリス固有のアトラクションだけをご紹介していきます。
・クレイジートラベル
ヘッドホンを使った3D音響+風や光などの特効を使ったアトラクション。
このタイプはホラーアトラクションが多いのに対し、こちらはドラマ性のある展開でかなり珍しい機種。
SEGAオリジナルではなく、三井物産経由の輸入品のようです。
僕が知る限り、ホラーではない3D音響アトラクションは、国内では他で見たことがありません。この内容だと、映像と揺れも付けたくなっちゃいますからね。
・AS-1
実は横浜ジョイポリスにも同型のアトラクションがあったのですが、手持ちのマップに掲載されていなかったために紹介しそびれていた機種。
昔ながらの、映像とライドが一緒に揺れる「スター・ツアーズ」タイプのアトラクション。
ですが、そこはSEGA。しっかりとゲーム性を追加してきています。
確か、宇宙空間でのミッションにあたって各座席にそれぞれ固有の役割が割り当てられていて、座席ごとに特定のタイミングで支持されるミッションをクリアしていくと、ミッション成功となるアトラクション。
乗り合わせた6人全員がしっかりとミッションを把握し、支持されたとおりに行動できれば何ら難しいことはなくミッション成功するのですが、なかなかルールを全員が理解できないために成功率が上がらないという残念なアトラクションでした。
おそらくゲームセンターに設置することを前提にSEGAが開発したものですが、ゲーム性が低すぎてリピーターを確保できない内容なので、コアなファンを獲得することはできなかったのではないかと。
・サイカバーン
「グランディッシュの館」、「聖サスペリオ女学院」などと同じゲーム会社ヒューマン株式会社製のアトラクション。
内容はすみません、全く記憶に無いのですが、マップの記載を読む限りでは映像と対話式の占いをしてもらうシステムだと思われます。
複数同時診断ということで、どういうシステムが採用されていたのか謎。ですが、記憶に残らないほどなのでそんなに大掛かりなことはしていなかったのかと。
・キュータッグ
新宿ジョイポリスの「ミッションQ」と同じ、Q-ZARのレーザーサバイバルゲーム的アトラクション。
2チームに別れ、レーザー光線を発射する銃を手に持って、相手チームの人を撃ったり、相手チームの陣地を撃ったりして得点を稼ぎ、自分が打たれたら自陣で回復、というゲーム。
やはり三井物産経由の輸入品。
ゲーム後、スコアシートが配られます。
3. なぜ福岡ジョイポリスは5年しかもたなかったのか
結局オープンから5年半後の2001年9月、ジョイポリスは閉館。
一部はラーメンスタジアムになり、残りはゲームセンターとなりました。
福岡市というのは、意外と娯楽の少ない街です。
特に遊園地に関しては壊滅的状況で、当時は北九州市の「スペースワールド」に行くか、熊本県荒尾市の「グリーンランド」に行くか、という選択肢しかありませんでした。
そんな中でまちなかにオープンした屋内アミューズメント施設。にもかかわらず5年半という短命に終わってしまったのはなぜか。
1つの原因は、ジョイポリスが「すごいゲームセンター」の域を脱せていなかったことだと思われます。
テーマパークと呼べるほどにまで振り切ったアトラクションが多数あればよかったのですが、サウンド系アトラクションやちょっとしたシミュレーションライドなどが大半を占める構成。
実際に乗ってみればよく練られた楽しいアトラクションばかりなのですが、一見するとゲームセンターに毛が生えた程度にしか見えませんので、余暇を過ごすための選択肢としてジョイポリスが上がらなかったことが一因かと思われます。
もう1つは、すごいゲームセンターと呼ぶにはゲーム性がイマイチな点。
結果が同乗者のめぐり合わせに左右されてしまうAS-1や、やりこむほどのゲーム性がないゴーストハンターズ、VR-1などのライド。
更には全くゲーム性のないサウンドアトラクション。
これらはコアなゲーマーのファンを呼び込むには不十分です。あくまでライト層向けの中途半端なターゲッティングが、コア層もライト層も呼び込めない状況を呼び込んだのではないかと思います。
さらに、ターゲット層の選定ミスも原因として考えられます。
「16歳未満は18歳以上の保護者同伴が必要」という注記からもわかるとおり、あくまでゲームセンターの延長としてのターゲッティング。
大人がお買い物を楽しんでいる間に子供に遊ばせておく、という手段をバッサリ切り捨ててしまっていることになるわけで、狙いは20台前後の若者層だったわけです。
その年齢層でアミューズメント施設を訪れるのは、今でこそ男性グループ、女性グループなども一般的ですが、96年当時はカップルでないと恥ずかしさもあった時代だと思われます。
そこにターゲッティングするには、全体的に「男の子心をくすぐるアトラクション」が多い印象。
それほどお金を持っていない若者層にとって、ここに行くくらいなら当時1人1500円程度の映画などを楽しむ選択肢をとってしまってもおかしくないわけです。
こうした要因が様々に重なって、結局福岡ジョイポリスは集客できない施設に終わってしまったのではないでしょうか。
4. 次に読むのにオススメの記事
同じく商業施設内に2フロア体制でオープンし、わずか4年弱で閉館した「新宿ジョイポリス」については以下の記事で営業当時のマップ復元、アトラクション解説など詳しくご紹介しています。
潰れた遊園地のマップシリーズを含む、遊園地関係の記事は以下のページにリストアップしています。
こちらを眺めていただいて、気になる遊園地がありましたら個別の記事も是非読んでいかれてください!
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