アメリカンスケールのシアター・ライド【エレンのエナジーアドベンチャー】at エプコット

2018年3月21日



こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。

今回は、フロリダ州オーランド近郊のウォルト・ディズニー・ワールド4大パークの1つ、「エプコット(Epcot)」にかつて存在したアトラクション「エレンのエナジーアドベンチャー(Ellen’s energy adventure)」をご紹介していきます。

 

今はなきアトラクションですが、単なるトラム型のライドアトラクションであっても「驚きのあるギミック」を仕掛けてきていたディズニーらしい、しかもアメリカらしいスケール感もあるアトラクションでした。

往年のディズニーパークを代表するアトラクションの1つですので、記録も兼ねてご紹介しておこうと思います。

 

 

1. エレンのエナジー・アドベンチャーの概要

そもそも、エプコットは「学習」の要素が強いパークです。

フューチャー・ワールドでは(かつては)「ライフ館」や「イノベンション館」などに、科学館でおなじみの実験設備が多く設置されていました。

「暖かいものを右手で、冷たいものを左手で持ったらどう感じるか」とか、そんな感じのやつです。

 

さらに、そうした細々とした体験設備に加えて、ディズニーらしい大掛かりなアトラクションも設置されます。

スター・ツアーズと同じシステムを使った「ボディ・ウォーズ」などが代表例ではないでしょうか。揺れるライドに乗って、体の中の仕組みを知ることができるアトラクションです。

ワールド・ショーケースもやはり、多文化体験施設としての役割が大きい施設です。

 

しかしながら、こうした施設だけでは集客が厳しくなってきます。

レジャーにおけるアメリカ人の「娯楽志向」が強まり、こうした地味な施設では刺激が足りなくなってきたのです。

マジックキングダムとMGMスタジオ(現在のハリウッドスタジオ)が集客を伸ばす中で、エプコットもやはり方針転換を迫られます。

 

2000年台に入ってそうした傾向が明確になります。

テストトラック」「ミッション・スペース」と、娯楽性が強く刺激も強いアトラクションが次々に導入されます。

テストトラックも初代はまだ、「自動車の性能試験を体験する」という要素が強かったのですが、リニューアルを経て今やもう完全な娯楽アトラクションと化しています。

さらに「ソアリン」の導入、そして禁断のディズニーキャラクターの導入(「三人の騎士」、「ニモ」、「アナ雪」)により、2010年台は娯楽志向のパークとして方向性を決定的にしてきました。

 

そんな中で、学習要素の強いアトラクションとして踏ん張っていたのがシンボルの「スペースシップ・アース」、「リビング・ウィズ・ザ・ランド」と、この「エレンのエナジー・アドベンチャー」だったのです。

もちろん、集客を優先する、その方向性が間違っていると言っているわけではありません。

遊園地好きとしては、刺激の強い楽しいアトラクションが増えてくれるのは、むしろウェルカムです。集客優先ということは、多くの人が求める形へと進化しているということですしね。

ただ、コンセプトが崩壊して、ただの大型アトラクションの寄せ集めパークになってしまうと寂しい限りですよね…。

 

エレンのエナジー・アドベンチャーは、フューチャー・ワールドの「ユニバース・オブ・エナジー館」にあったアトラクション。

在りし日のユニバース・オブ・エナジー館の外観。大量のソーラーパネルが屋根に配置されています。

エネルギーに主眼をおいて、コメディアンのエレンを案内役に、いかに持続可能な社会を作っていくかという学習をするアトラクションなのです。

 

もともとユニバース・オブ・エナジー館には、その名の通り「ユニバース・オブ・エナジー」というアトラクションがありました。

このアトラクションからライドシステム・アニマトロニクス等設備の変更はされていないのですが、1996年にリニューアルされた際に、映像面(ソフト面)で大幅なリニューアルが図られました。

と言っても、エネルギーという主題はそのままに、エネルギー問題の変遷に伴って内容を現代的に改めつつ、ややコメディタッチに変更した、ということなのですが。

 

映像とライドを組み合わせたアトラクションで、体験時間はなんと45分

かつて長時間のアトラクションが多かったエプコットの中でも、かなり長い部類に入るアトラクションです。

そのせいもあって、一度に500人が体験できるという、アメリカらしいビッグスケールのアトラクションなのです。

 

 

2. エレンのエナジー・アドベンチャーの乗車レポート

というわけで、エレンのエナジー・アドベンチャーの乗車レポートをお届けしていきます。

 

建物に入ると、広大なプレショーエリアが広がっています。

前方に多数の大型スクリーンがあり、そこで案内役のエレンが縦横無尽に動き回りながら、コミカルに観客を楽しませています。

フロアは全面絨毯張りで、観客は思い思いの場所に座り込んだり、立ったまま映像を眺めたりと自由に振る舞います。

 

しばらくしてアトラクション開始時刻になると、スクリーン下のドアが開きます。

かなりゆったりとした作りの劇場に、大量の座席がありますので、それぞれ好きな座席に着席。

全員が着席すると、正面のスクリーンで映像が開始されます。

 

ある研究室を訪れたエレン。

そこで博士と一緒に、何やらタイムスリップの実験をしているようなのですが、ちょっとしたハプニングによってエレンと博士が離れ離れとなり、ジュラ紀へとタイムスリップしてしまいます。

あたりには恐竜だらけの状況。そんな状況ですから、博士は急いでエレンを探しに行かなければなりません。

 

場面転換して…と思ったら、なんと劇場が動き始めます!

正確に言いますと、劇場の座席だと思って座っていた場所が、ライドだったのです。

動き出すのはこの規模のライド。

ライド。まるでシアターのように座席が配置されていますが、これがまるごと動き出すんです!

80人乗り×6台が一斉に動くことになります。

 

横3列×縦2列に並んでいたライドが、縦1列に隊列を組み直し、前方へと進んでいきます。
約500人が同時に動くライドなんて、さすがアメリカは規模が違います。

ちなみに、西武グループがバブル時代に、3セク制度を利用して西武園ゆうえんちの隣に似たようなアトラクションを作りました(ユネスコ村という施設です)が、それでもあちらはボートライドで20人乗り。やはりケタ違いの規模です。

 

しばらく進むと、実際に恐竜の世界へと突入します。

シアタータイプのアトラクションだと思っていたら、ライドが動きはじめて恐竜が現れる。元のアトラクションが設置された1982年という時代を考えれば、ものすごい驚きのあるアトラクションだったはずです。

もちろん、恐竜たちはオーディオアニマトロニクス。動きます。

ブラキオサウルスですかね。大きな草食恐竜です。このスケールですが、もちろん動きます。

これだけ大迫力の恐竜の世界をライドで進むと、お子様は大喜びのはず。

ティラノサウルスとステゴサウルス。戦っています。

 

しばらくこの世界を進み、エレンが見つかったところで再び映像劇場へと入ります。

このあとは、2つのシアターを進みつつ、幾つかの映像を見ながら持続可能な社会に適したエネルギーとは何かを考えさせるシーンが続きます(2つ目のシアターは、最初にライドに乗り込んだシアターです)。

案内役がコメディアンだけあって、学習学習してしまいがちな内容ですが、コメディっぽく軽やかなタッチで楽しむことができます。

もちろん、英語がわからないとキツいですが…。

 

最終的に太陽光や風力を始めとした再生可能エネルギーが良いよね、といういつもの結論に落ち着いて、アトラクションは終了。

後半のシアターが2つに分かれているのは、ギミックを増やすためではなく、おそらく単にアトラクションの回転率を上げるため。

こうしていくつもシーンを分けることで、500人規模×45分という長大なアトラクションを、約15分の間隔で回すことができるのです(45分のうち、15分ほどはプレショーです)。

もちろん、動きがあったほうが体験している方も飽きずに済んで良いのですけどね。

 

さてさて、こんなに驚きに満ちていて、楽しいアトラクションではあったのですが、残念ながら2017年をもって閉鎖されてしまいました。

後継のアトラクションは、どうやらアベンジャーズになるのではないか、という噂。どんどんと学習要素・未来要素がなくなっていってしまうのは寂しい限りですが、エプコットとしては初のコースタータイプのアトラクションになるはずですので、その点は楽しみ。

 

ライドの動きを激しくして、内容のエンタメ性を強めても、「科学館」は成立し得ると思うのですが、どうやらそれは現在のディズニーの経営理念とは違っているようです。

あくまでエンタメ映像コンテンツ界の最大手として、それを活かした商品開発をしていかなければなりませんからね。

ある意味で、ディズニーという企業の移り変わりを体現したかのような、アトラクションの更新になっているのかもしれません。

3. 次に読むのにオススメの記事

この日の最後は、ナイトエンターテイメントへ。

花火が眼の前の湖の上で炸裂する、大迫力のショーです!

詳しくは、以下の記事で。

 

この日は丸一日かけてエプコットを楽しみ尽くしました。

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Posted by ricebag