【ウルトラツイスター】inナガシマスパーランド ー 今なお色褪せぬコンパクトコースターの名機

2018年7月22日



こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。

この記事では、三重県桑名市にある遊園地「ナガシマスパーランド」のパイプライン型コンパクトローラーコースター「ウトラツイスター」のレポート兼レビューをお届けしていきます。

レールの幅1つ分の範囲に設置できるコンパクトなコースターながら、最大斜度85度の落下、ひねり回転、後ろ向き走行など様々なエレメントが凝縮されたマシン。国内で絶大な人気を誇った機種の1号機であるナガシマスパーランド版をご紹介していきます。

 

ウルトラツイスターの評価

 

爽快感:      ★★★☆☆

振動の少なさ:   ★★★☆☆

スリル:      ★★★☆☆

コースレイアウト: ★★★☆☆

楽しさ:      ★★★☆☆

総合得点:     65点

 

 

1. コンパクトなコースターの歴史とウルトラツイスターの概要

 

ローラーコースターは遊園地の花形アトラクションですが、設置には膨大な面積を必要とするのが常です。

このため、いかにコンパクトな面積でスリルを味わってもらうか、という工夫はかなり昔からなされてきました。

 

遊園地の歴史は、デンマークのチボリ公園(現存する中で世界で2番目に古い遊園地)を置いて語ることはできますまい。

この遊園地に現存している「Rutschebanen」という1914年製のコースター。これはブレーキをかける乗務員が同乗する古めかしいコースターなのですが、このコースターにはどうやら古いバージョンがあったようなのです。

1843年に作られた初代バージョンは、シャトル型(往復型)だったという記録があるようです。

シャトル型というのは、前に進んだコースを逆走して元の場所に戻るようなタイプのコースター。設置面積がコンパクトで済むという特徴があります。

現代型遊園地のコンパクトコースターの歴史で最も古いのは、おそらくこれなのではないでしょうか。

当時はカーブを作ることができなかった、という問題もあったのかもしれませんが……。

 

その後、1884年になるとアメリカ初のコースターがオープン。その形状もまた、シャトル型でした。

アメリカ初のローラーコースター「スイッチバックレールウェイ」。カーブのないコースレイアウトでコンパクト!

このコースターは大人気となり、アメリカ各地の遊園地に同型機が設置されました。

これもやはり、カーブが作れなかったのか、あるいは石炭運搬用トロッコを参考にしたらしいのでカーブを作る、あるいはカーブを楽しむという発想がなかったのか。

いずれにせよ、コンパクトにしたいという目論見ではないところで、このコースターができあがっているように思います。

 

その後のコースターは回遊型へと発展していきますので、ここでコンパクトコースターの歴史は一気に1977年へと飛びます。

シュワルツコフ社とArrow社がほぼ同時期に、往復型のループコースターを開発しました。

真ん中にループがあって、その両サイドに坂があり、その間を往復するようなコースターです。ナガシマスパーランドにも「シャトルループ」がありますよね。

そのスタート方式にもいろいろと違いがあって面白いのですが、話がそれてしまいますのでシャトルループの記事で語ることにしましょう。

 

シャトル型のコースターは日本でも大人気を博します。全国に導入されたシャトルループタイプを始めとして、富士急ハイランドの「ムーンサルトスクランブル」(まったくもってコンパクトではありませんが…)や、後楽園ゆうえんち(現・東京ドームシティアトラクションズ)の「リニアゲイル」などが代表的です。

その後も、1997年頃、シックス・フラッグス・マジック・マウンテン「スーパーマン・ジ・エスケープ」とオーストラリアのドリームワールド「タワー・オブ・テラー」という、現在でも最高速度世界5位タイを誇るコースターに至るまで、様々なシャトル型コースターが開発されていきます。

しかしながら、シャトル型には車両を1台しか運行できないため効率が悪い、コースレイアウトに制約があるといった問題もあり、2000年台に入ると先進国の大型遊園地での導入は徐々に減っていきます。

 

代わりに台頭してきたのが、回遊型ながら縦にコースを積み上げたような形で、横幅を取らないタイプのコースター。

その先駆けとなったのが、日本のトーゴが製作した「ウルトラツイスター」だったのです。

横幅はレール1つ分とシャトル型並のコンパクトさながら、回遊型で運行効率がよく、様々なハードエレメントを詰め込んだスリリングなレイアウトもあり、国内6機、海外1機を売り上げる大ヒットとなります

日本で導入されたのは後楽園ゆうえんち、ナガシマスパーランド、生駒山上遊園地、鷲羽山ハイランド、グリーンランド。もう1機、ルスツリゾートにも導入されていますが、こちらは途中での停止と逆走を廃した代わりにダイブループというエレメントを導入したハイスピード版。

海外ではシックス・フラッグス系列が1機導入しました。輸出版は開業2年で移設された際、巻き上げが垂直ではない形へと改造されました。

1号機のナガシマスパーランド版は1984年の設置。シャトルループから7年しか経過していないことに驚きです

 

当時はこのタイプが流行することはなかったのですが、2000年台に入って縦回遊型への注目度が急上昇し始めました。

超大型コースターの設置が一巡し、大型化によるスリルの追求が難しくなった結果、複雑なエレメントを使ったスリル追求へとトレンドが移り変わっていきます。その結果、大型である必要がなかったり、また大型コースターを設置してしまったために敷地に制約を生じているパークでの導入が相次いだのです。価格が比較的安く、新興国でも設置しやすいことも導入加速の要因に。

端緒となったのは、おそらく2004年のドイツMaurer社製SkyLoopタイプでしょう。垂直に巻き上げ、そのまま後ろ向きにひっくり返ってスタート、頂上でぐるっとライドをひねったあと、ほぼ垂直に落下してきてゴール、というシンプルな構成。

2007年にはライドが自由回転する、Intamin社製ZacSpinタイプ、2012年には急加速型のPremier Rides社製SkyRocketがデビュー。

SkyRocket2の1号機、Superman Ultimate Flight。ほぼレール1つ分の幅で完結するコースレイアウトながら、急加速、ループ、ひねりと大量のエレメントが詰め込まれています。

2015年デビューのS&S社製フリースピンタイプは、「」としてナガシマスパーランドにも導入されました。

ナガシマスパーランドの嵐。やはりレール一本分の幅でコースが収まっています。

2014年には、ややレールの幅よりはスペースを必要としますが、Zamperla社がThunderboltというウルトラツイスターをさらにハードにしたようなコースターも製作していて、コンパクトコースター再評価の流れが続いています。

トーゴは20年早すぎたんですね。。。

 

ちなみに、ナガシマにもあるフリーフォールこそ縦回遊型の元祖だと思うのですが、巻き上げではなくエレベーターを使っているからか、あるいは背面にレールがある特殊な構造からか、残念ながらローラーコースターには分類されないようです。

 

 

2. ウルトラツイスターの乗車レポート

ナガシマスパーランドのウルトラツイスターは、もともとは園内南側、現在のキッズエリア付近に設置されていたのですが、キッズエリア拡張に伴って北側の端に移設されました。

このためスチールドラゴンの下をくぐって更に奥へと進んだ先にあります。もともとの設置方向と向きを変えずに移設しているため、プラットホームが園外方向にあります。ですので、ウルトラツイスターのコースの下もくぐった先に、ようやくプラットホームが見えてきます。

 

ウルトラツイスターは、2つのレールの間にライドが挟まる「パイプライン型」と呼ばれるタイプ。

世界でもインタミン社1機と、ウルトラツイスターしか有していない構造で、インタミン版は解体されてしまいましたので現存するのはウルトラツイスターだけです。

プラットホームに到着するとライドは片側のレールだけ使用してプラットホーム側はフリーな状態になっています。このときだけ、ライド下についている補助タイヤを使用している状態。

横2人×3列の小さなライドに乗り込みます。1両編成ですので、乗り味は前でも後ろでも大差ありません。というわけで、視界がひらける前に乗車するのがオススメ

 

U字型の安全ハーネスを下ろすと、ライドは後ろ向きに動き始めます。

しばらく後ろ向きに進んで止まったかと思うと、なんとレールごと後ろに90度回転します。

垂直上向きになった状態で巻き上げスタート!

約30 mの高さに到達すると、平らな姿勢に戻って視界がひらけた、と思うのもつかの間、いきなり斜度85度のファーストドロップです。

85度というほぼ垂直の落下は、まさに「真っ逆さまに落ちていく」感覚。落差は20 m前後だと思われますが、それでもなかなかのスリルを味わうことができます。

 

ウルトラツイスターの巻き上げ、ファーストドロップからセカンドドロップ。ほぼ垂直に落下していきます!

 

続いて坂を登り、少しだけふわっと浮かぶ感じで小さなセカンドドロップ。

その後は水平に戻り、まっすぐ進んでいきます。

この一見真っ直ぐに見えるポイントでは、右回りのハートラインロール心臓の位置は動かないまま、体とライドがひねり回転をするようなトーゴが開発したエレメントです。

なんとも不思議な回転を味わったあとは、少し坂を登って急停止。ここのブレーキが荒っぽいので、舌を噛まないようなしっかり歯を食いしばっておきましょう。

 

直線上のコースに見えますが、ここにハートラインロールと呼ばれるきりもみ回転エレメントがあります。

 

停止したと思ったら、今度はレールが後ろに傾き始めます。そのまま後ろ向き走行開始。

やや斜めに坂を下りながら、左回りのハートラインロール。

続いて水平に戻ったあとで、もう一度左回りのハートラインロールを越えてゴール。

 

360 mという短いコースの中に、85度のドロップや3回のひねり回転、さらには後ろ向き走行まで詰め込んだ、今でも十分に戦えるハードなコースターです。

まだ各地にも残っていますので、これだけのためにナガシマに行く必要は全くありませんが、せっかくナガシマを訪れたらぜひとも乗車していただきたいコースターです。

 

 

3. 次に読むのにオススメの記事

ウルトラツイスターは風には比較的強いのですが、雨が降るとすぐに止まってしまいます。

各アトラクションについて、悪天候に強いかどうかの情報を以下のページにまとめてご紹介しています。特に遠方からお出かけの方、特定の日程でしかナガシマに行けない方は、是非参考にしてみてください。

 

ナガシマスパーランドにあるアトラクションのご紹介は、以下の記事で行っています。

大型コースターについては別記事へのリンクもありますので、ぜひご参照ください。

 

その他、国内外の遊園地に関する記事、ローラーコースターに関する記事は以下のページにまとめています。

こちらからご希望の遊園地やコースターをお選びいただき、個別記事をご覧ください。