細やかに制御されたスピニングコースター【プライミーバルワール】at アニマル・キングダム
こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。
今回は、ウォルト・ディズニー・ワールド(以下WDW)4大パークの1つ、アニマル・キングダム(以下AK)にあるスピニングコースター「プライミーバルワール(Primeval Whirl)」をご紹介していきます。
日本の遊園地でもあちこちに導入されたスピニングコースターと同型の機種なのですが、ディズニーらしくストーリーも付与されています。
さらに回転や速度が細やかに制御されていることで、回転の気持ち悪さなどは一切排除した、純粋に複雑な動きを楽しめるとっても楽しいコースターになっています!
わざわざ乗る必要はまったくありませんが、試しに乗ってみるとテンションアップ間違い無しのコースターですよ。
この記事では、コースターマニア目線からのアトラクションの特徴と、このアトラクションがあるエリア「Chester and Hester’s Dino-Rama」のバックグラウンドストーリーについても詳しくご紹介していきますよ!
- 英語必要度 ★☆☆☆☆ ほんの少しストーリーがあって、理解には英語が必要です
- 予習必要度 ★☆☆☆☆ 恐竜を知っていれば、より楽しめる部分もありますが、基本的には不要
- オススメ度 ★★☆☆☆ 日本でもあちこちで乗ることができるコースターですが、乗れば楽しい
わざわざ感はありませんが、日本の遊園地でも乗れるアトラクションだからこそ、それらと比較することで、いかにディズニーがこだわってアトラクションを作っているのかがわかります。皆で乗れば、テンションアップ間違い無し!
爽快感: ★★☆☆☆
振動の少なさ: ★★☆☆☆
スリル: ★★★☆☆
コースレイアウト: ★★★☆☆
楽しさ: ★★★★☆
総合得点: 55点
カメラ故障の関係で、写真のピントがボケボケですがご了承ください。
1. プライミーバルワールの基本情報
まずは、プライミーバルワールの概要や混雑状況など、基本的な情報をご紹介していきます。
乗車レポートはもう少し下で!
1.1 プライミーバルワールの概要と、ディノラマのバックグラウンドストーリー
プライミーバルワールは、2002年にChester and Hester’s Dino-Rama(以下ディノラマ)というエリアがDinoland U.S.A内にオープンしたのと同時に設置されたコースター(厳密には、Triceratop Spinが2001年11月にオープン、プライミーバルワールは2002年3月オープンで、完全に同時ではありませんが…)。
Dinoland U.S.A.は恐竜をテーマにしたエリアで、ダイナソー(DINOSAUR)というアトラクションを核に、疑似発掘体験やアスレチックのような施設などがあります。
テーマが恐竜だけだと発展性が乏しかったのか、「恐竜をテーマにした個人運営の遊園地」というテーマのディノラマが2001年にオープンします。
エリア内にエリアがあって、しかも個人運営の遊園地というテーマの中に恐竜というテーマがある、極めてわかりにくい状況になってしまっています(笑)
このあたりは、ディノラマのバックグラウンドストーリーを紐解いてみると、理解できるようになってきます。
もともと、このあたりは何もない地域で、高速道路沿いにChesterさんとHesterさんの夫婦が経営するガソリンスタンドがあるだけでした。
高速道路と言っても、アメリカの高速は日本で言うバイパスのようなもの。タダで乗れて、場合によっては周囲にお店があったりもします。
そんな何もないところで、ある日恐竜の化石が発掘されます。
これに端を発し、周囲は恐竜フィーバーに。
近くには現代的な建築の研究所(DINOSAURのアトラクションがある建物です)も建設され、タイムマシンに乗って恐竜の世界を見物できるツアーも開始されたことで、多くの観光客が訪れるようになります。
ですが、観光客が時々ガソリンを入れに来る程度で、あまりその恩恵を受けられなかったChester, Hester夫妻。
意を決して、ガソリンスタンド内にお土産物店を併設します。
これが大当たりし、儲からないガソリンスタンドは閉鎖してお土産物店に一本化してしまいます。
このお店がChester and Hester’s Dinosaur Treasures。Dinoland U.S.A.内にあるショップです。
このお店が当たったことで気を良くした夫妻は、もともと高速の向かい側に持っていた土地を利用して、遊園地を作ることにします。
こうしてできたのがディノラマ、というわけ。
このバックグラウンドストーリーを反映して、Dinosaur Treasuresのショップ前にはガソリンスタンド時代の遺物や、ガソリンスタンドのカンバンを書き換えたものがあります。
また、ショップとディノラマは道路を隔てていますし、ディノラマは高速道路に向けて様々な看板を設置しています。
こんな感じの小さな遊園地は、1970年台のアメリカにはたくさんあったようで、アメリカ人にとってはノスタルジーをくすぐられる、日本で言う昭和後半~平成初期のデパート屋上的なニュアンスを持った施設のようです。
そんなディノラマに設置されたコースター「プライミーバルワール」は、DINOSAURのタイムトラベルツアーにあやかって、タイムトラベルをして恐竜に出会う、という演出になっています。
キューラインやアトラクションの途中も、あえて手作り感満載の演出で楽しめるようになっていますよ。
さてさて、話を現実に引き戻しますと、プライミーバルワールはReverchon社製。
1929年創業のフランスの老舗遊具メーカーですが、2008年に破産しています。
コースターの製造実績に絞ると、そのほとんどがプライミーバルワールと同型のスピニングコースター。
日本では、横浜のよこはまコスモワールド(「スピニングコースター」)、大阪のひらかたパーク(「クレイジーマウス」)、熊本のグリーンランド(「スピンマウス」)に導入されています。いずれも1998年のほぼ同時期に開業。
東京ドームシティで事故を起こした「スピニングコースター舞姫」はドイツのMaurer社製でまったくの別物です。
プライミーバルワールのコースレイアウトは日本の3施設のものとまったく同一。
最高到達点13.8 m, 最高時速46.8 km/hと規模の割にはスピードの出るコースターです。
特筆すべきは、途中からライド自体がコーヒーカップのように回転し始める点。
しかも強制回転ではなく、コースのカーブに合わせて自然に回転するようになっていますので、乗る度に動きが違いますし、とっても複雑な動き。場合によっては回転しながらドロップもあったりして、かなり激しくなり得るコースターなんです。
ですが、AKのスピニングコースターは一味違います。そこかしこに速度制御があり、回りすぎない「気持ち良い程度の回転」をしながらコースを走り抜ける、とっても細やかな気配りが施された楽しいコースターです!
1.2 プライミーバルワールの混雑状況
このコースターの難点は、ハケが悪いこと。
1つの軌道で最大900人/時のハケ。1時間あたり900人乗車できるのですが、エクスペディション・エベレストが1時間に2050人乗車できることを考えると、かなりハケが悪いと言わざるを得ません。
実は、この効率の悪さを改善するために、ディズニーはなんとプライミーバルワールを2機設置してしまっています。
隣同士、コースが手前と奥を向くように互い違いの方向に設置された2つのコースター。
このおかげで、フル稼働すれば1800人/時とエクスペディション・エベレストに匹敵する効率を叩き出します。
理論的にはかなりハケが良いはずなのですが、混雑期でもなければ、コースは片側だけ、900人/時での運用になります。
さらに、4人で1ライドに乗車して、それぞれ安全バーのチェックを受けるので、毎回の遅れが拡大しやすい仕様になっています。
こうした事情に加えて、子供でも楽しめるミニコースターということもあって家族連れも並んでしまいますので、昼間の混雑はかなりのものです。
特にエクスペディション・エベレストがかなりハードなコースターということもあってか、動物目当ての子供たちもこれなら楽しめる、ということで、行列時間は伸びがち。
僕が訪問した日は、日中の時間帯はエクスペディション・エベレストと同じ30~40分の待ち時間になっていました。
子供が多い12時~17時頃は避けるのが懸命かもしれません。
2. 乗車レポート
それでは、乗車した感想をサクッとご紹介していきます。
キューラインは、タイムマシンのエネルギー源(?)をイメージした、手作り感あふれる雰囲気。
ただし、それほど見るものもなくて「遊園地の待ち列」っぽい、ただ折り返すだけのキューラインですので、やや退屈。待ち時間は少ない時に乗りたいところです。
4人乗りの円形のライドに乗り込むと、すぐに出発です。安全バーはかなりガッチリしています。
荷物は座席前のネットに入れる形式です。手に持っていると、遠心力に負けて放り出しかねないので要注意。
まずはライドの回転は固定されたまま、巻き上げを登っていきます。
タイムマシンで過去に戻るような、看板による演出を通過し、上に上がるともうそこは恐竜の世界(「という手作りの演出がされている」という演出)。
ライドの回転は固定のまま、何度も左右にヘアピンカーブを超えていきます。
「ワイルドマウス型」と呼ばれる、ミニコースターではよくある左右に大きく揺さぶられるコースレイアウトです。
コーナーやコースの途中にはコミックタッチの恐竜たちが立っていて、それぞれ吹き出しでセリフまで描かれています。
グワングワンに揺すられて、楽しくなってきたところでドロップ!
ドロップの高低差自体は大きくないのですが、角度の変化が急なので、かなり速度が出ます。
コースの反対側でゆっくりと折り返し、もう一度、今度はこのコースター最大のドロップ!
ここでコースター最高の46.8 km/hを出し、そのままコースの反対側へと駆け抜けます。
この2つは意外としっかりとしたドロップですので、落下が苦手な方は、エクスペディション・エベレストよりもむしろこちらのほうが怖いかもしれません。
ここに来て、ようやくこのコースターが本領を発揮し始めます。
ブレーキを掛けて速度を落ち着かせたところで、ライド自体のコーヒーカップのような回転がロック解除! ライド自体が自由回転を始めます。
ここでブレーキを掛けているのがディズニー版のポイント。日本にある3コースターは、いずれもコース途中のブレーキが一切ありません(厳密にはあるのですが、制動がイマイチだったり、一切使われていなかったりします)。
ブレーキを掛けないと、この先の連続ヘアピンカーブをかなりのスピードで通過することになって、それに合わせてライドもものすごい勢いで回転します。それこそ、コーヒーカップを全力で回したときのような回転具合。
このため、目が回って気持ち悪くなるような乗り心地になってしまうのです。
プライミーバルワールは、さすがはディズニーだけあって、決して気持ち悪くなりやすい状態にはしていません。
しっかりとブレーキを掛けて減速した上で、連続ヘアピンカーブへと突入していきます。
このお陰で、ライドはゆっくりと回転をしながらヘアピンカーブを通り抜けていきます。時に後ろ向きになったり、時に横向きになったり。
そんないろんな状態でのカーブ通過を楽しめるよう、精緻に設計されているのです。
連続ヘアピンカーブの途中でも、スピードが出すぎるポイントではすかさずブレーキ。
かなりしっかりとスピードを制御し、適度な回転のまま続いての連続アップダウンへとつながっていきます。
連続ヘアピンを抜けると、再び進行方向を変えてドロップ。細かなカーブを抜けつつ、幾つかアップダウンを越えてゴールとなります。
この細かなアップダウンの際、横を向いていたり後ろを向いていたりするので、動きに予想がつかずとっても楽しい!
コーヒーカップ酔いはせず、爽快感を味わい尽くしたままライドを降りることができます。
速度制御がしっかりしすぎていてスリル好きにはやや物足りないかもしれませんが、乗っている最中は複雑な動きに翻弄されて笑いだしてしまう、そんな楽しいコースターですよ。
アメリカの方と相席になれば、やたらと高いテンションに引きずられてテンションアップ間違い無し。
実際、今回は老夫婦と相席させていただきましたが、老夫婦がやたらとハイテンションで爆笑しているので、僕らも笑いながら叫んで楽しませて頂きました。
日本にもあるコースターですが、同じコースレイアウトのものを日本でも体験できるからこそ、いかにディズニーが細やかな気配りをしつつアトラクションを作っているのかがわかる、ある意味で貴重な体験ができるコースターです。
3. 次に読むのにオススメの記事
この日、このあとはGorilla Falls Exploration Trailに向かいました。
歩いて回る動物園的なアトラクション。ですが、ディズニー作品を思い起こさせるようなシーンがあったり、動物の生態を学べたりと、ただの動物園では終わりません。
詳しくは以下の記事でご紹介しています。
アニマル・キングダムの他のアトラクションについてや、1日でどれだけ回れるかなどの情報は以下のページにまとめています。
アトラクションの到着時刻、回った順番などもご紹介していますので、ぜひご参考に!
その他、WDWに関するすべての記事は以下のページにまとめています。あわせてご覧ください。
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