【ルーピングスター】inナガシマスパーランドは古いけどスリリングな名機

2018年7月22日



こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。

この記事では、三重県桑名市にある遊園地「ナガシマスパーランド」のローラーコースター「ルーピングスター」のレポート兼レビューをお届けしていきます。

1982年製の古いコースターですが、コースターの神様が設計した名機。最新鋭のコースターにも負けない独自の味と楽しさがあるコースターですよ。

 

ルーピングスターの評価

 

爽快感:      ★★★★☆

振動の少なさ:   ★★★☆☆

スリル:      ★★★☆☆

コースレイアウト: ★★★★☆

楽しさ:      ★★★★☆

総合得点:     75点

 

 

1. ルーピングスターの概要

ルーピングスターをコークスクリュー側から。美しいシュワルツコフカーブとループにテンションMAXです!

ルーピングスターはナガシマスパーランドのコースターの中でも古参の部類に入る、1982年製のコースター。

ジェットコースターコークスクリューシャトルループについで4番目に導入されています。

製造したのはシャトルループとおなじドイツのシュワルツコフ社。コースターの神様と呼ばれるアントン・シュワルツコフ氏が率いていた会社です。

 

国内にもシュワルツコフ氏設計のコースターはいくつかありまして、例えば大型コースターとしてはスペースワールドにかつて存在した氏晩年の傑作「ヴィーナス」が有名でした。

しかしながら、国内に残っていたローラーコースターはいずれもZierer社やMaurer社などが氏の設計をもとに製作したもの。

シュワルツコフ社製で、かつ急加速タイプでないコースターは、国内にはこの「ルーピングスター」1台しかないのです

 

実はシュワルツコフ氏設計の中型・大型コースターは多くありません。その中でも名機とされるのが、この「ルーピングスター」なのです。

観覧車から見たルーピングスター。コースレイアウトがよく見えます。

このタイプは海外でも老朽化が進み、ボツワナ、ブラジル、キプロスなどへと移設が進んでいますので、海外でも先進国で乗れるのはアメリカ1箇所とイタリア1箇所のみ。いずれも決して大きな遊園地ではありませんので、大型遊園地で乗ることができるのはナガシマスパーランドだけなんです。

もう1つ、似たタイプのコースターがアメリカの大型遊園地、ブッシュガーデンタンパに現存していますが、これはルーピングスターの小型版。コースレイアウトもやや簡略化されてしまっています。

 

そんな、もはやコースターの博物館に展示されてもおかしくないマシン。実は当時としては最先端の技術を盛り込んだものでした。

例えば、コースターのレールはパーツに分けて搬送し、現場で組み立てます。この際の組立精度が最終的なコースターの仕上がり、特に振動や速度にきいてきます。

ルーピングスターでは、組み立て精度を向上させるためにレールや柱などの一方にコーン状の突起、もう一方にすり鉢状のくぼみを作り、それをはめ合わせるようにして製造していました。このため、当時としては驚くほど滑らかな乗り心地を実現していたんです。

ループの周囲を箱状の梁で囲っているのも特徴の1つ。これも、通常の多数の細い柱や梁で支える方法と比べて、頑丈かつ振動の少ない仕上がりにするための工夫なんです。

 

このコースターに乗ることができる喜びは、乗車前にはコースターマニアにしかわからないのかもしれませんが、乗ってみれば間違いなく楽しいはず!

というわけで、前置きはこのくらいにして乗車レポートに移っていきましょう。

 

 

2. ルーピングスターの乗車レポート

コースターマニア的には、駅舎に到着した段階でテンションが上がります。

まず、駅舎の屋根が三角屋根なんです。しかも透明の。

透明の三角屋根といえば、形こそ違いますが、同じくシュワルツコフ社製の「シャトルループ」のうち、としまえん版を思い出すのです。

別にシュワルツコフ特有なわけではないですし、世界的に見てもおそらくレアケースなのですが、日本のコースターマニア的には透明三角屋根は「シュワルツコフっぽい」んです。僕だけかもしれませんが。。。

 

そしてライドを見て再び興奮します。

ルーピングスターのライド。ライド形状と言い、座席形状と言い、安全バーと言い、何もかもがシュワルツコフっぽい。シュワルツコフ製なので当たり前なのですが。

1970年代後半のシュワルツコフ社製ライドっぽいんです。シャトルループそっくりなんですよ。左右別々の安全バーなんてまさに。

 

好きな座席位置に座って出発すると、まずはゆったりとしたチェーン式の巻き上げ。

高さ24.5 mとややおとなしめな頂上についたら、右に180度旋回しながらのドロップ、通称シュワルツコフカーブです。建築精度のおかげか、高さはないもののこのドロップで77 km/hまで加速します。

美しい曲線を描きながらのドロップは、ただ直線的に落ちていくだけでは得られない、「ふわり」とした感覚があります

マイナスGがかかるはずはないのでふわっと浮き上がる感覚のエアタイムとは別物のはずなのですが、なんとも優しく繊細なふわりとした感覚。繊細かつ緻密な設計と、振動の少なさが為せる技ですね。病みつきになりそうな魅力です。

ファーストドロップのシュワルツコフカーブ。美しい。。。左下に見える小さなキャメルバックも、左に傾いた状態から右に傾いた状態へと滑らかにつながる、シュワルツコフらしいエレメントです。

 

続いて当時としては大型の垂直ループ。これまた箱型の梁がシュワルツコフっぽい!

こちらもやはり、優しく「ふわり」とした感覚を味わえる垂直ループ。

ループといえばドギツい振動とGのかかるコースターが多い中、天地逆さまの感覚をしっかりと味わえて、ふわっとした感覚もあるこのループは絶品!

箱状の梁で囲われたループは、まさにシュワルツコフ! こいつは4つに分解されて運び込まれ、現場で組み上げられるんだそうです。

 

その後は右にバンクターン、さらに左にバンクターン、再度左にバンクターンの後、小さなキャメルバックを越えて地面すれすれの右ターン。

この左ターンから右ターンへと移り変わる間に挟まれるキャメルバックも、シュワルツコフの特徴の1つ。

コースがうねっているように見える不思議なレイアウトながら、振動などもなく滑らかにふわりと浮かせてきます。

 

最後までスピード感を落とすことなく、バラエティに富んだコースレイアウトを駆け抜けてくれるコースター。

作られた時代を考えると、見た目やエレメントの派手さこそありませんが、乗れば乗るほど味の出る何度乗っても楽しいコースターです。

1つ1つのエレメントや、その「つなぎ」まで緻密に計算されていて、一切の中だるみや不快感もありません。まさに絶品の乗り心地

ローラーコースターって、しっかり設計すればここまで優しい乗り心地になるんだ、という不思議な体験をさせてくれます。

せっかく乗車するなら、ライドが設計通りの動きをしてくれる中央付近に。

 

 

3. 次に読むのにオススメの記事

ルーピングスターは風には比較的強いのですが、雨が降るとすぐ止まってしまいます。

各アトラクションについて、悪天候に強いかどうかの情報を以下のページにまとめてご紹介しています。特に遠方からお出かけの方、特定の日程でしかナガシマに行けない方は、是非参考にしてみてください。

 

ナガシマスパーランドにあるアトラクションのご紹介は、以下の記事で行っています。

大型コースターについては別記事へのリンクもありますので、ぜひご参照ください。

 

その他、国内外の遊園地に関する記事、ローラーコースターに関する記事は以下のページにまとめています。

こちらからご希望の遊園地やコースターをお選びいただき、個別記事をご覧ください。