【麺や一途 kizuna】でフレンチ出身者による、フォン・ド・ヴォライユベースのフォアグラ・トリュフラーメン🍜

2017年2月22日



こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。

2月20日に、東急目黒線洗足駅付近にオープンした「麺や一途 kizuna」というらーめん店に行ってきましたので、レポートしていきます!

フレンチ出身のシェフが考案したフォン・ド・ヴォライユベースのらーめんがウリのお店。さらに、フォアグラやトリュフの香り、コクを活かしたらーめんもあるとのことで、気になって行ってきちゃいました。

 

 

麺や一途 kizunaの基本情報

麺や一途 kizunaの概要

こちらは、武蔵小山にある「麺や一途」というお店の2号店。

麺や一途は、フレンチの超有名店マキシム・ド・パリや、結婚式場としても有名な目黒の雅叙園などで修行されたフレンチ出身のシェフが立ち上げたお店。

フレンチではベーシックな「出汁」であるフォン・ド・ヴォーを使ったらーめんを提供しています。

フォン・ド・ヴォーは仔牛や野菜類を煮込んで作るスープ。デミグラスソースなど、フレンチでよく使われるソース類やスープなどのベースになっていると表現すると、わかりやすいですよね。

そんなフォン・ド・ヴォーを、醤油ダレとあわせてらーめんにしてしまうという大胆なことをしていたのが、麺や一途の1号店。

 

こちらの麺や一途 kizunaでは、フォン・ド・ヴォーではなくフォン・ド・ヴォライユを使います。

ヴォーが仔牛、ヴォライユが鶏のことですから、フォン・ド・ヴォライユは鶏を使った出汁のことですね。

これをやはり、醤油ダレとあわせてらーめんにして提供しているのがこのお店。

これだけだと鶏+野菜ベースのらーめん、という表現もできてしまいそうですが、おそらく出汁を引く技法がフレンチ寄りなんだろうと期待して訪問!

 

ちなみに、奇しくも2016年12月5日には、やはりフォン・ド・ヴォライユ+トリュフをテーマにした「暴雷油(ヴォライユ)」というお店が本駒込にオープンしたばかり

今年はフォン・ド・ヴォライユブームがラーメン業界にやってくる(?)わけではないと思いますが、フレンチなど他国料理の技法を積極的に取り入れていくのは、大きな流れになりそうですね。

もうもはや主流になりつつある低温調理のチャーシューは、モダンフレンチから取り入れた手法ですし、スープにもそうした手法が入り込んでくると面白くなるかもしれません。

 

麺や一途 kizunaのアクセス

最寄り駅は東急目黒線の洗足駅。

駅の改札を出ましたら、左手方向に真っ直ぐ2分ほど。通りの右手にあるお店です。

大井町線の北千束駅も徒歩圏内ですが、住宅街の中を歩くことになってちょっとわかりにくいので、一駅隣りの大岡山駅で目黒線に乗り換えて洗足駅まで行ってしまったほうが良いかと思います。

 

まだ前店の情報がGoogle Mapに残っていますので、そこにピンを打っています。(モバイルでは地図が表示されない場合があります。その際はこちらからご覧ください)

 

 

麺や一途 kizunaのメニューと価格帯、営業時間

麺や一途1号店もそうなのですが、麺や一途 kizunaもやはりメニューの名前が個性的。

  • 「輔(すけ)」800円がデフォルトのフォン・ド・ヴォライユ+醤油ダレのらーめん。
  • 「明(あけ)」800円キャベツ、白菜、もやし、豚そぼろなどを提供直前にフォン・ド・ヴォライユに入れて煮込んだ(?)らーめん。
  • 「章(あきら)」1,200円トリュフやフォアグラを使ったらーめん。
  • 「舞(まい)」900円ベシャメルソース(クリームコロッケの中身やらラザニアのホワイトソース層などに使われるアレです)のらーめん。

という4種類がデフォルト。麺の大盛りはいずれも+100円です。

 

さらに、「光喜(こうき)」800円は、本店で人気となっているカレーラーメンに使われるカレーソースを使ったカレーライス。説明が回りくどくて何が何だかですが、本店の方ではカレーライスを提供していなくて、カレーラーメンだけなんです。

それに対して、こちらのお店ではそのカレーをカレーライスとして提供しているということ。

ミニカレー「日和(ひより)」300円もあります。

その他、各種トッピング、チャーシュー丼などもあり。

ランチだけなのかわかりませんが、小さめのライスはサービスでした。

 

無休で

  • 平日11:30~15:0018:00~22:00の営業。
  • 土日祝日11:30~22:00の通し営業です。

 

お店の雰囲気

前店がカフェだっただけあって、まさにカフェのような雰囲気。

入口側は全面採光で窓の高さも高く、とっても開放的で明るい!

ダークトーンの木目を基調とした店内もオシャレな感じです。

 

2階では、夜時間帯になるとフレンチを大皿料理で楽しめるようです。

本店の方も、フレンチのコースを味わえる席がありますので、それに習ったようですね。

 

 

 

章(フォアグラ・トリュフらーめん)大盛り

なんとトッピングは別盛りで、らーめんは素ラーメンとしての提供です!

トッピングに邪魔されずに、らーめんだけで味わってほしいということなんですかね。

 

スープ

トリュフのトッピングは別皿での提供なのですが、スープをすするとガッツリトリュフの香り

まさかとは思ったのですが、輔、明、章の3種のラーメンは、いずれも素のフォン・ド・ヴォライユがベースながら、しっかり味を変えてきているみたいですね。

見た目にはほとんど油が浮いていないスープなので、ほんの少しトリュフオイルを加えただけだと思うのですが、それにしてはかなりしっかりとしたトリュフの香り。自家製のオイルなのか、トリュフ塩のように細かく砕いた粉末も使っているのか。

 

ベースのスープ自体もとっても美味しい。

鶏出汁だとハッキリわかるスープなのですが、野菜の複雑な旨味や甘味も絡まって、とっても優しいんだけど複雑な味わい。和出汁の風味もちょっとあって、本っ当に複雑で、そしてよく出来ている。

さらに、トリュフオイルとヴォライユの味わいのマッチングが見事。どちらもお互いに邪魔することはまったくなく、見事に高めあっています。

 

これ、たしかにとっても美味しいんです。

ものすごく高い技術をもっていることがわかるし、料理人としてその技術を活かすならこの形しかない、というところまで完成させてきています。

毎日食べても飽きないほどに複雑で、それでいて優しい味わい。

らーめんオタクであれば間違いなく刺さると思いますし、美味しいものを食べ歩いているグルメの方々にも引っかかるところはあるだろうと思います。

 

でも、一般大衆が求めているものはコレでは無い気がします。

らーめんやグルメ系のオタクでなければ、もっとわかりやすい、パンチのある味を求めていると思うんです。

僕もらーめん好きの端くれとして、これがものすごく高いレベルの品であることは辛うじて理解できるのですが、でも、それでも、

お前の本気はそんなものなのかああああぁぁぁぁっっっ!!!!!

と叫びたくなる不完全燃焼感があります。

 

実際、隣りに座った若いカップルは「なんか懐かしい感じの味だね」とか話してました。

らーめんなんて、普通の人は月に一度とかあるいはそれ以下しか食べないわけですし、そもそものイメージ的にも「パンチのある何か」を求めているんですよ。

らーめん屋をやるということはそういうことなんだと思います。シェフが高い技量を誇らしげに投入した一杯を出すのではなくて、何かに突き抜けたわかりやすい一杯を出すべき。

突き抜けた何かがない、キレイにまとまったらーめんは「普通のらーめん」という括りになってしまうんです。

そうなると、レビューサイトの点数も伸びなくなるし「みんなが笑顔で帰る」という状況にはならなくなってしまう。

大衆にフレンチの技法を使った美味しいスープを届けることができなくなってしまう。

なんだか矛盾をはらんでいるような気もしますが、そこがらーめん店としての腕の見せ所なのではないかと。

例えば、「蔦」はわかりやすく重層的で複雑な味わいですし、「篝」はわかりやすく洋風に振った鶏白湯ですよね。でも、ここのスープは調和が取れすぎていて、普通に飲めば「あ、優しいスープ」で終わっちゃうような気がするんですよ。

「うちは大衆向けのらーめん店じゃない」と言われてしまえばそれまでなのですが。

 

麺は細めのストレート。

表面はぷにゅっとして、もっちり感もあり茹で加減は柔め。

スープの持ち上げも良いし、優しい味わいのスープとのマッチングも含めて、料理人なら間違いなくこの麺を選ぶだろう、という麺

 

なのですが、やはり求めているのはそこじゃない!!!

最近だと、大井町の「和渦」も同じような試みをしていたのですが、たしかに柔い麺ってスープに入る具材としての完成度は高いと思うのですが、「らーめんを食べに行こう」と思った方が想像している麺とぜんぜん違うんですよ。

淡麗系であれば、もうちょっと、ほんのちょっとだけでもパツッと感のある麺を求めていると思うんです。

表面の柔さを残しつつも、パツッと感を出すことは不可能ではないはずなんですよ。蔦や鳴龍のように。

この点もやはり、不完全燃焼感を煽ってきます。

 

トッピング

一番手前に鎮座されているのがトリュフ様×2。

その後ろにおわすのが、フォアグラ様。

あとは、人参、ヤングコーン、ブロッコリー、カブという温野菜と、グリルももと低温調理むねの2種の鶏チャーシュー、玉ねぎ+紫玉ねぎのスライス。

 

トリュフ様は麺やスープと一緒にいただくと、より強烈にトリュフの香りがやってきて楽しいです。

フォアグラ様は、なんとフォアグラバターのような形になっています。残念ながら、ソテーではありませんでした…。

ということで、おそらくスープに溶かして味変を楽しむという目的でトッピングされているんだと思いますが、テリーヌか何かだと思って普通にかじっちゃいました。その点、説明が欲しかったかも。

かじっちゃうと、フォアグラ感ももちろんあるんですが、それよりも脂っこさが先に来てちょっとキツめ。やはり、スープに溶かしながら味わうのが正解でしょう

 

温野菜は適度な火入れでシャキッと感もありつつ野菜の甘味が引き出されていて美味しいのですが、冷えっ冷えなのが疑問。

スープに浸すとスープの温度が大きく下がっちゃいますし、それでも温まらないほどに冷え冷え。

そして、スープに短時間浸した程度ではあまりスープと馴染まないので、そのまま食感のアクセントとして温野菜を食べているような感覚。

 

チャーシューも同じく冷え冷えなので、美味しさ半減。

そのせいもあってか、特筆すべきほどには感じませんでした。

その後ろに隠れている玉ねぎのスライスは、チャーシューで巻いて食べると良いかも。

麺と一緒にすすると、玉ねぎの食感が麺に勝っちゃって薬味としてはイマイチでした。

 

 

総評

ということで、とっても美味しくてレベルの高いラーメンであることに間違いはないのですが、どこか食後に物足りなさが残る。

たとえこれがフレンチを食べに来ていたとしても、やはり物足りなさを感じるのではないかと思います。

コンセプトありき」で実態の味のインパクトや、食事としての満足感が軽視されてしまっている印象。

そこらのらーめん店より断然高いレベルにあることは間違いないのですが、なんだか惜しさが目立つお店でした

点数にするなら、85点といったところ。

 

いろいろ文句ばかり書いていますが、「これだけの技量があるなら、あと少しシェフとしてのプライドを削ってパンチを出せば、万人受けするすんごいのができるのに」という意味合いが強いんです。

なので、点数として評価すると結構高め。

フォン・ド・ヴォライユをここまでラーメンとして昇華した、オンリーワンの存在であることに間違いはないと思いますので、気になる方は訪れておいて損はないかと。

ただし、やはり万人にオススメはできない印象です。

 

 

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