ボストン美術館とイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館 ― ボストン観光

2016年12月3日



こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。

ボストン観光編、今回は美術館についてお届けします。

ボストンはアメリカの中でも歴史があり、植民地時代には貴族のような立場の方がいましたので、美術品の蒐集家というのも存在しました。また、近隣にハーバード大やMITを擁していることから教育水準も高く、文化や芸術を楽しむ下地も形成されやすいのではないかと思います。

そんな街なので、有名な美術館があり、有名作品が集まっています。

こうした事情から、美術館はボストンの重要な観光資源の1つ。今回は、主要な美術館を回ってきましたので、その様子をご紹介したいと思います。

 

ボストン旅行の手配方法や、様々な観光地のレポートなどは以下の目次からどうぞ。

 

ボストン美術館

概要

沿革

ボストン美術館(Museum of Fine Arts, Boston)は、1870年に設立された美術館です。

組織が設立されてから蒐集が始まったということで、1870年頃から蒐集を開始したにも関わらず世界的に有名になるほどのコレクションを擁するすごい美術館です。

運営は現在に至るまで民間の手によるもの。このあたりも、日本の大規模博物館とは感覚が違いますね。

 

立地とアクセス

立地はボストン西部。中心部からアクセスする場合には、グリーンラインのE線に乗り、Museum of Fine Arts駅で下車することになります。駅からは徒歩1~2分。

このグリーンラインの支線、全部で4本あるうちの1本ですので、運行本数は中心部の1/4ほど。時間帯によってはなかなか来ないこともありますので、時間には余裕を持って訪問してください。

ちなみに、グリーンラインE線はMuseum of Fine Artsの前の駅、Northeastern University付近から地上区間となります。道路の真ん中に専用軌道がありますので「路面電車」ではありませんが、都電荒川線のようなゆったりとした雰囲気で走る電車です。

 

入場料と営業時間

入場料は、2016年12月現在で25ドル。5年前は19ドルでしたから、5年で3割の上昇。やはり、アメリカの物価上昇は恐ろしいですね。

営業時間は土曜日~火曜日が10時~17時、水曜日~金曜日が10時~22時。

入場券を購入すると、10日間以内なら1度だけ再入場可能です。

 

所要時間

内部は極めて広いです。それぞれのセクションごとに見ようとすると階段の昇り降りも頻繁に必要になりますので、かなりの体力が要求されます。

ちなみに、僕は今回「一応、すべての作品を見た」という程度にすべての作品の前をサラッと歩いて通過する、というような見方をしたのですが、それだけで4時間かかりました。歩いた距離もフリーダムトレイルより長いのでは…?

ただ、それぞれの興味によって見るべきところは違いますし、力の置き方も違ってくると思います。

いらないところは飛ばしつつ、有名どころだけを見るような形であれば、2時間位で回ることができると思いますし、あまり疲れずに済むと思います。

「全部見る!」と意気込んでいると、有名な印象派のコレクションや日本美術にたどり着いた頃には疲れ切っていて、楽しく鑑賞することができなくなってしまいますよ。

 

各エリアの紹介

古代

このあたりは、美術館というよりも博物館です。ちなみに、英語ではどちらもMuseumなので区別がありません。そもそも2つの概念が分かれていないんですね。

古代ゾーンは4大文明を中心とした展示です。エジブトではミイラやヒエログリフ、ギリシャは彫刻など、世界各国の大規模美術館と同じような構成。

ただ、エジブトエリアでは棺が置かれていた部屋を再現した空間に入ることが出来たり、見せ方がかなり上手な印象です。

下の写真は、古代ゾーンのうち、ギリシャのエリアの一室。

古代だけでこんな部屋が25くらいあります。

 

アメリカ美術

続いて、新館を含む巨大なアメリカ美術エリア。

全55室からなる、この美術館最大のエリアです。

おそらく、全部見て回ろうと思った際に一番消耗するのがこのあたり。アメリカ美術は興味がなければそれほど面白くないかもしれませんので、ある程度飛ばしながらでも良いと思います。

地階は入植以前の時代。インカ帝国や、ネイティブアメリカンにまつわる展示物が豊富にあります。

1階は大航海時代から植民地時代にかけて。当時の住宅の部屋を再現した展示があったり、絵画を中心としてはいますが、アメリカ史を学んだあとであれば当時の生活や空気に触れることができる展示となっています。

2階は独立以降。写実主義、印象派などの影響を如実に受けつつも、明らかにヨーロッパのそれとは異なる独自の方向に進んでいったことがわかります。特に、風景を描こうにもアメリカの雄大な自然になってしまいますので、題材からして欧州とは似ても似つかない、良く言えばダイナミックで悪く言えば大味なものになってしまうんですね。

 

3階は近現代のアメリカ美術です。抽象画からデザイン家具まで、いろいろなものが置かれています。イームズの家具なんかは日本でもおなじみですよね。

 

ここまでで大分疲れてきますが、気合を入れ直してヨーロッパのエリアへと向かいます。

 

ヨーロッパ

ヨーロッパは30室弱。キリスト教の戒律が厳しかった時代に始まり、ルネッサンス期を経て近代までの展示があります。

宗教色の強かった時代はやはりあまり面白くは感じませんでしたが、印象派、ポスト印象派のあたりは凄いです。

必見は、モネの部屋。なんと、クロード・モネだけで1室使っているのです。

ジャポニズムの代表作ラ・ジャポネーズや

例の蓮

など、モネの代表作が並びます。

ルノワール、セザンヌ、ゴッホなども充実。これもどこかで見たことのある海兵さん。

 

 

現代美術

お隣は、現代美術のエリア。こちらは、空間を使った展示が多いので、楽しくササっと見ることができます。

展示室は特別展のような形を取っていることが多いように感じます。

現在は、Frances Stark展でした。

 

アジア

最後は、アジアのエリア。

古代は除かれますので、そうなると日中韓が多い印象。

日本のエリアでは、鎧や巻物、屏風、仏像など、やはり博物館のような展示。

有名な日本美術館系の展示は、今回は残念ながら展示替え中で見ることができませんでした。

 

 

ボストン美術館については、大体こんなところです。

17時閉館日の午後から行こう、と思っていると思いの外時間を取られて、閉館時間が迫ってきて焦る、ということになりかねませんので、早目の時間に訪問するのがおすすめですよ。

 

 

イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館

概要

沿革

こちらは、ボストン美術館とは打って変わって個人蒐集家のコレクションを展示している美術館。

現在では超有名作品というのは少ないのですが、これは1990年に歴史上最大とも言われる美術品盗難事件にあっているため。現存数が極めて少ない、フェルメール作の貴重な絵画や、レンブラントの作品など主要な美術品が盗まれてしまっているんです。その絵画があった場所には、現在でもからの額縁がかけられています。

ただ、この美術館の見どころは作品ではなく、美術館としてのつくりにあると思います。ヴェネツィアの宮殿を模して作られた美術館の中に、それぞれ作品の雰囲気や時代に合わせた部屋が作られていて、まるでその部屋に飾られているかのように何気なく美術品が展示されているんです。

この、作品が描かれた時代や、作品を購入して個人で鑑賞していた人の時代の空気にまで触れられる展示は一見の価値があると思います。

そういった意味では、作品はすごいけれども世界中の大規模博物館と同じような展示をしているボストン美術館より、こちらのほうが個人的には楽しかったです。

ヴェネツィアに行っても、当時の生活様式をそのまま再現した宮殿を見るようなことはできませんしね。

5年前には新館を建てるための工事で閉まっていましたので、念願かなって今回初訪問です!

 

立地とアクセス

場所はグリーンラインの駅から見てボストン美術館の裏手左方向です。

最寄り駅も、やはりグリーンラインのMuseum of Fine Arts駅。駅からは徒歩10分ほどです。

ボストン美術館から近いので、1日で両方回ってしまいたいところですが、それはボストン美術館のまわり方次第。ボストン美術館で全作品をじっくり鑑賞してしまったら、体も頭も疲れ切ってこちらに寄る余裕はなくなってしまうでしょう。

両方1日でまわりたいのであれば、ボストン美術館は大半の部分はサラッと流し、お目当てのところに集中する形にしたほうが良いと思いますよ。

現在の入り口は、新館です。上の写真で、左手にあるきれいな建物から入っていくことになります。

 

料金と営業時間

料金はおとな15ドルです。

ただし、名前にイザベラとついているか、誕生日なら無料。

また、ボストン美術館に2日以内に行っていると、入場券を見せれば2ドル割引になります。

営業時間は火曜木曜以外は11時~17時。火曜は閉館で木曜は11時~21時です。

中庭を楽しむためには、明るい時間に行くのがベスト。

 

内容

バロック期からルネッサンス期にかけての、イタリア美術全盛期が主に充実していますが、他に日本美術やアメリカ美術なども収蔵品があります。

ただ、楽しみ方としては個別作品を見るよりも、美術館全体の雰囲気を見るほうが個人的には好みです。

展示室の一例として、以下のような感じになっています。

邸宅を開放しているところにあるような、かつての生活を再現したような部屋に、自然に展示物が配置されているんです。

こちらはアメリカ風のお部屋ですが、他にもルネッサンス期や中世など、それぞれの時代、土地に合わせた様々なお部屋があります。

 

こんな形になっていますので、展示物の横に説明書きがあったりはしません。どうやって展示物の内容を知るのかというと、各部屋にこのようなボックスがありまして、

そこに、こんな感じで各壁ごとに何が展示してあるのか書いてあるんです。

美術品を見るときには、このガイドを手に見ていくことになります。

 

普通の美術館ではできないこの展示方法、素晴らしいと思いませんか?

複製や写真では決して伝えることのできない、空気感まで含んだ展示ですので、機会がありましたらぜひ訪問されることをオススメします。

 

さらに、ヴェネツィアの宮殿を模した建物ですので、中庭も素晴らしい。

まさに、当時の概念でいうところの楽園のような雰囲気が漂っています。花の香りも結構強めに漂っていて、本当にその世界に浸ることができますよ。

ちなみに、中庭にはガラスの天井がかけられてますので、眺めが天候に左右されることはほぼありません。

 

 

 

ボストンの有名美術館2館についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

ちなみに、今回ハーバード大の美術館にも行きまして、そこも印象派、ポスト印象派の蒐集品が素晴らしかったのですが、これについてはまた別の機会にご紹介したいと思います。

今回ご紹介した2館を回るだけでも、朝からはじめて17時の閉館時間まではゆうにかかると思います。

美術館好きの方なら、2館あわせて丸2日の予定を組んでしまっても良いかもしれません。

ボストンの観光地としてはダントツの見どころだと思いますので、ボストン観光の際は是非お立ち寄りください。

では、今回はこのへんで。

 

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