【コークスクリュー】inナガシマスパーランド ー 傑作ループ機も今となっては……

2018年7月22日



こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。

この記事では、三重県桑名市にある遊園地「ナガシマスパーランド」のローラーコースター「コークスクリュー」のレポート兼レビューをお届けしていきます。

開発された1970年台には「奇抜なループエレメントを備えた究極のスリルを味わえるコースター」だったのですが、それも今となってはただのコンパクトな変型ループコースター。

そんなコークスクリューの栄光の歴史と乗車レポート、オススメの楽しみ方などをご紹介していきますよ。

 

コークスクリューの評価

 

爽快感:      ★★☆☆☆

振動の少なさ:   ★★☆☆☆

スリル:      ★★☆☆☆

コースレイアウト: ★★☆☆☆

楽しさ:      ★★☆☆☆

総合得点:     45点

 

 

1. コークスクリューの歴史と概要

コークスクリューは、まだループといえば垂直ループだった1970年台半ばに、アメリカのArrow Dynamics社によって開発されたループコースターです。

Arrow Dynamicsという会社は、アナハイムの本家ディズニーランドが最初にオープンした「マッターホルン・ボブスレー」というコースターを製作した会社。これが1959年のことですから、次にオープンした1977年製スペース・マウンテンのおよそ20年前という時代です。

ちなみに当時のArrow Development社には、その翌年1960年頃にディズニーが資本参加しています。

その後は小型のコースターなどを手がけていたのですが、転機となったのが1975年。

アメリカのナッツベリーファーム(奇しくもアナハイムのディズニーランドからほど近い、ロサンゼルス近郊にあります)などに設置した「コークスクリュー」がきっかけとなりました。

 

それまで、ループといえば垂直ループが当たり前。それですら天地が逆さまになる、当時としてはかなりのスリルだったわけです(ちなみに1900年前後以降、長らくループエレメントが作られることはありませんでした)。

コークスクリューはそんな常識を覆す、ひねり回転を備えたエレメント。イメージはワインの栓抜き(コルクスクリュー)です。

ワインの栓抜き。この先っぽのウネウネしたところのようなイメージで、ひねり回転しつつ前へと進んでいくエレメントがコークスクリュー。

 

カオスなループエレメントが様々に開発され、当たり前のようにコースター中に配置されるようになった現在では、もはや何の変哲もないループエレメントにしか見えないのですが、当時としては画期的だったのです。

垂直ループにはない、究極のスリルを味わえるコースター。

それでいて、このコークスクリューというエレメント一本に絞ったコースレイアウトのため、狭い敷地にも設置できる。

そんな事情から敷地に難のある国内の遊園地にも多数導入されました。

1977年の谷津遊園を皮切りに、としまえんナガシマスパーランド奈良ドリームランド八木山ベニーランドにいずれも1979年に導入。このうち閉園した谷津遊園と奈良ドリームランド以外の3機はいずれも現存しています(谷津遊園のものはルスツリゾートに移設)。

 

ちなみに、1900年前後以来のループコースターの登場ということで、実質現代的なループコースターの先駆けとなったコークスクリュー。

なぜこのような変型ループになったのかと言うと、それにはおそらく1900年前後の古のループコースターにおける教訓が関係しています。

当時のループコースターはループエレメントが真円に近く、ループ進入時に強烈なGと衝撃が走ったために、ムチ打ち患者が続出したんだとか。

このため、Arrow社はループに斜めに入ることで衝撃の少ないコークスクリューという形式を選択したんだと思われます。

日本では、谷津遊園のコークスクリューが日本初の宙返りコースター。まさかの変型ループが垂直ループより先にできてしまうという状況でした。

 

その後もカオスなループエレメントをはじめとして、世界初の大型サスペンデッドコースターやハイパーコースターなどの製作も手がけたArrow Dynamics社ですが、残念ながら時代の変遷に追いつくことができず、2002年にS&S社に買収されてしまいました

最後に製作した大型ループコースターは、1999年Dollywoodに設置された「テネシートルネード」。2002年には超大型四次元コースター「X」を設置しますが、そのまま息を吹き返すことなく倒産、買収。

残念ながらArrowの古いタイプのループコースターは、もう作られることはなさそうですが、四次元コースターについてはXをベースとした「ええじゃないか」などのコースターが、さらにその技術を応用した「」なども製作されていますので、S&SでもArrow社の技術は確実に活かされているようです。

 

ちなみに、ナガシマ版コークスクリューを実際に建築したのは岡本製作所だと言われています。

この会社は明昌(現サノヤスライド)創業者のお兄さんの会社で、明昌関係のコースター製作でもよく登場します。現在は、明昌創業者が岡本製作所の会長になっているというカオスな関係性。

おそらくこのコークスクリュー以外にも、明昌以外の会社のコースターを製作したことはあったのではないかと思うのですが、実際のところはあまり表に出てこない情報なのでよくわかりません。

 

コークスクリューは量産機ですので、スペックはどこのものも(ほぼ)一緒。

高さ21 m, 最高速度63 km/h, 全長383 mです。

ライドは横2人×縦2列の車両が6両編成。規模の割には編成が長く、ハケは良い方。

 

 

2. コークスクリューの乗車レポート

コークスクリューのダブルコークスクリューエレメント。この2回螺旋が当時としては画期的だったのです。

ライドはArrow社昔ながらの赤、白、青の3色タイプ。

よほどの繁忙期でなければ好きな座席を選べるものと思われます。

座席に座ったら、重くてごついU字型のハーネスを降ろします。

 

出発すると、小さなドロップを通過して右に180度旋回。

チェーンによる巻き上げで21 mの高さまで上昇します。

最上部で再び小さなドロップを通過したあと、右に180度旋回。

このファーストドロップ前のタメは、古いコースターによくある構造です。落下前の緊張感を煽る心理効果とともに、設置スペースをコンパクトにまとめる効果があるのですが、そこを通過するにも少しは落差が必要なので、高さを結構犠牲にしちゃうのがもったいない。

最近のコースターは、ほぼ上昇→即落下の形になっていますよね。

 

旋回が終わったら最大斜度42.5度のファーストドロップです。

車両が長いので、先頭に乗車してしまうと結構下ってから加速をはじめてしまいますが、最後尾に乗るとその分引きずり込まれ感があります。結構荒々しい浮きを味わえますので、ドロップのスリルを味わうなら最後尾がオススメ

 

巻き上げとファーストドロップ。今にしてみれば小規模ですが、1970年台に20 mの高さから、しかも42.5度の角度で落下するというのはなかなかの衝撃だったのかもしれません。

 

ファーストドロップが終わると少し坂を登り、右に180度ターンしながらドロップ。

ここは一見するとバンクターンのようにも見えますが、坂の頂点はファーストドロップからの直線上にありますので、どちらかというと小さなシュワルツコフカーブのようなエレメントになっています。

これはおそらく、コンパクトな敷地にコークスクリューを2つ詰め込むため、カーブからコークスクリューへの接続を滑らかにするためにこのようなレイアウトになったものと思われます。

結構ガツンと横に振られますので、頭をハーネスにぶつけないよう注意です。

 

その後、このコースターのメインであるコークスクリューを2つ連続で通過。

ここは実はそれほど激しいエレメントではなくて、ひねり回転なので、激しい振動の中で「あー、回ってるなー」くらいの印象しか残しません。むしろ振動に耐えるほうが大変。

コークスクリュー後は坂を登り、右に180度旋回して終了です。

 

コークスクリューを横から。左側の右カーブからコークスクリューへ、ほぼ境目なくつながっていることがわかります。

 

高速で通過するのはドロップ1つ、カーブ1つ、コークスクリュー2つというなんともシンプルなコースター。

今にしてみればスリルもそれほどではありませんし、振動も激しい。そしてあまりにあっさり終わりすぎる。

これだけ粒ぞろいのコースターがあるナガシマスパーランドの中では埋もれてしまいがちな一機です。

 

 

3. 次に読むのにオススメの記事

コークスクリューはある程度の風では動きますし、雨にも比較的強いです。

各アトラクションについて、悪天候に強いかどうかの情報を以下のページにまとめてご紹介しています。特に遠方からお出かけの方、特定の日程でしかナガシマに行けない方は、是非参考にしてみてください。

 

ナガシマスパーランドにあるアトラクションのご紹介は、以下の記事で行っています。

大型コースターについては別記事へのリンクもありますので、ぜひご参照ください。

 

その他、国内外の遊園地に関する記事、ローラーコースターに関する記事は以下のページにまとめています。

こちらからご希望の遊園地やコースターをお選びいただき、個別記事をご覧ください。