フライング・ダイナソーはなぜ怖いのか

2019年1月9日



こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。

この記事では、大阪府のテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにあるローラーコースター「ザ・フライング・ダイナソー」にまつわるお話をご紹介していきます。

フライング・ダイナソーはかなりスリルのあるローラーコースター。個人的には、一番うしろの車両に乗ると日本で二番目に怖いコースターになると思っています。

  • そっくりなコースターがナガシマスパーランドにもあるのですが、なぜそれよりも怖いのか
  • フライング・ダイナソーの特徴である「うつ伏せ」で乗車することの怖さとは何なのか
  • 怖くない乗り方のポイント

といったことに迫っていきますよ。

 

ザ・フライング・ダイナソーの評価

 

爽快感:      ★★★★☆

振動の少なさ:   ★★★★☆

スリル:      ★★★★★

コースレイアウト: ★★★★☆

楽しさ:      ★★★★☆

総合得点:     85点

 

 

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1. うつ伏せはなぜ怖いのか

ザ・フライング・ダイナソーはうつ伏せで乗車するコースターです。

  • うつ伏せコースターとはどういうものなのか
  • 海外では多数設置されているタイプなのに、なぜ日本にはなかったのか
  • B&M社製うつ伏せコースターの特徴とは

といった内容は、同メーカー製の日本一号機に当たるナガシマスパーランド「アクロバット」についての記事にて詳細にご紹介しています。詳しくはそちらをご覧ください。

 

1.1 頭から落ちるので怖い

乗車時には、まずは普通にぶら下がりタイプのコースターのように椅子に座ってハーネスを降ろし、

USJ「ザ・フライング・ダイナソー」乗車時
乗車時のライド形態。このまま椅子に座るようにして乗車します。

準備が整ったらお尻が後ろに持ち上げられるように座席が動き、うつ伏せ状態になるのです。

USJ「ザ・フライング・ダイナソー」うつ伏せ状態
金網越しの写真ですみません。うつ伏せ状態です。お尻がレールにひきつけられるように持ち上げられてこの姿勢になります。

この状態のまま、最初から最後まで進んでいくのです。

 

うつ伏せで、頭を前にして進んでいきますので、落下時には頭から真っ逆さまに落ちる感覚が味わえます

これが怖さの要因の1つ。

例えば少し高いところからジャンプしたりすると、胃が浮き上がるような体験をすることができます。ジャンプという行為自体は自分でコントロールできます。このように、日常のコントロールできる範囲でも体験できるものですから、通常のコースターの「胃が浮き上がるような感覚」というのは、理不尽な怖さではありません。

それに対して、頭から真っ逆さまに落下する感覚というのは、自分でコントロールをして体験するということがなかなかできません。このような慣れない感覚というのは、得も言われぬ恐怖感を演出するのです。

 

1.2 特殊なエレメントが怖い

もう1つの怖さの要因は、うつ伏せだからこそ実現できた特殊なエレメントにあります。

通常のコースターでは実現できないエレメントには、こんなものがあります。

実現できないエレメント
左側は通常のコースターのループエレメント、右側は現実には存在し得ないループエレメントです。

上の図の左側は通常のループエレメントです。ループの下からコースターが進入して、グルっと回って下に戻ってきます。

一方、右側の図はループの上からコースターが進入してグルっと回って、上に戻ってきます。このようなループエレメントは、実際には作ることができません。(もちろん、逆さま状態で上からスタートすれば作ることはできますが、それは通常ループエレメントの前半と後半を入れ替えたものなので、それはまた別のエレメントなのです)

厳密に言えば、作るだけならできるのですが、人が乗車できないのです。

ループエレメントでは、最も速度が出ている最下部付近で最大のGがかかります。通常のループであれば、人はそのGを腰やお尻で受け止めることになります。

それに対して、図の右側のループエレメントでは、最下部付近で上下がひっくり返ってしまうため、U字型ハーネスを装着している状態であれば肩で全荷重を受け止めることになってしまいます。

ループ下部では2~3G程度の荷重がかかりますので、例えば体重50 kgの人なら150 kg分を肩で受け止めるようなことになってしまうのです。こんなエレメントを作ってしまうと、少なくとも大怪我は免れないでしょう。

 

一方、うつ伏せ状態で乗車するコースターであれば、上記エレメントを作ってもライドに守られている背中で全荷重を受け止めることができますので、問題なく人が乗車できるのです。

その一方で、通常形状のループはハーネスで一部しか支えていないお腹で全荷重を受け止めることになりますので、こちらは設置できません

そんなわけで、フライング・ダイナソーに設置されている回転エレメントは、インライン・ツイストというきりもみ回転系と、プレッツェル・ループという「逆ループ」しか存在しないのです。

 

そしてこの、プレッツェル・ループが凶悪なのです。

USJ「フライング・ダイナソー」プレッツェル・ループ
プレッツェル・ループ。上から落下しながらひっくり返り、グルっと回って再び上に戻ります。

うつ伏せ状態で走行してきたライドは、ループへと進入するとグイグイと下を向いていきます。

頭から真っ逆さまに落下している状態から、さらに回転を続けて仰向けになるまでグルっと行きます。ここでループ内の最高速度が出ることになります。

その後は残り半転して元のうつ伏せに戻る、という流れ。

このうち、頭から垂直落下している状態が非常に怖いですし、さらにそこから仰向けになるという動きも怖い。これを息つく暇もなく猛スピードで通過してしまうので、驚くほど怖いのです。

 

ちなみに、ファーストドロップ後にはきりもみ回転しながら上昇し、さらにもう半回転して仰向け状態でドロップ、ハーフループ(インサイド・レイブン・ターンと言います)してうつ伏せに戻るエレメントがあります。

これもうつ伏せタイプのコースター特有(厳密にはプレッツェル・ループと同様、「ええじゃないか」や「嵐」などの4次元コースターも設置できます)のエレメントですが、これはプレッツェル・ループの後半部分に近いエレメントですのでそこまで怖くはありません。

 

 

2. 「アクロバット」より怖いのはなぜか

フライング・ダイナソーは、ナガシマスパーランドの「アクロバット」とよく似たコースターです。

どちらも同じメーカー(スイスのB&M社)の「フライング・コースター」と呼ばれるタイプなので、当たり前といえば当たり前。

ただし、アクロバットはシーワールド・オーランドの「マンタ」と同型の汎用機なのに対し、フライング・ダイナソーは敷地に合わせて作られた一点物のカスタムモデル。

ナガシマスパーランド「アクロバット」全景
アクロバットの全景。レールの色もあって、全体的に爽やかな印象です。

 

  • 高さ アクロバット: 43 m, フライング・ダイナソー: 46 m
  • 速度 アクロバット: 90 km/h, フライング・ダイナソー: 99.8 km/h
  • 全長 アクロバット 1021 m, フライング・ダイナソー: 1124 m

全体的にわずかながらスケールアップしています。

エレメント的にも、

アクロバット: 1stドロップ→プレッツェル・ループ→インライン・ツイスト→コークスクリュー→ブロックブレーキ→インライン・ツイスト

フライング・ダイナソー: 1stドロップ→インライン・ツイスト→フライ・トゥ・ライ→インサイド・レイブン・ターン→プレッツェル・ループ→インライン・ツイスト→水平ループ→インライン・ツイスト

とフライング・ダイナソーは前半が盛りだくさん。

 

ただし、ここまでのスペック上ではそれほど怖さに違いがあるようには見えません。

フライング・ダイナソーの怖さの原因は、敷地に制約があったがゆえの無茶なレイアウトにあります

 

B&M社の汎用型フライング・コースターは、ふわりとした乗り心地が特徴。例えばきりもみ回転をするインライン・ツイストというエレメントでも、前後に上下動のあるカーブをつなげることで、ふわっと空へ放り出されるような回転を味わえます。

しかしながら、フライング・ダイナソーは敷地の制約からこれができていません。1stドロップのあとに坂を登りながらのインライン・ツイストがあるのですが、直線上にエレメントがあるので、急にぶん回されるような、唐突かつ荒っぽいエレメントになっています。

 

前述のプレッツェル・ループも同様。

アクロバットでは1stドロップ後、坂をぐいっと登って頂上からふんわりとプレッツェル・ループに突入するのですが、フライング・ダイナソーではなだらかな坂を登ったあと、そこそこにスピードが出た状態で唐突にプレッツェル・ループに突入するのです。

この進入角度と唐突さが恐怖の原因

さらに、フライング・ダイナソーでは敷地の制約によって序盤にプレッツェル・ループを導入できなかったため、高さが足りていません。このため、地面に穴をほって地下を通すことで無理やり高低差を作り出しています。

これによって「明らかに地面に激突する」勢いで落下していくので、心理的にも怖い

 

プレッツェル・ループを超えると、あとは怖いエレメントはありません。

このあとも唐突かつ荒々しいインライン・ツイストや、お腹に強烈なGを受けて外に放り出されそうな恐怖感のある水平ループなどもありますが、プレッツェル・ループまでと比べれば、これらは消化試合。

ただし、これもまた敷地の問題でつなぎが雑。全体を通して非常に荒々しいコースターになっています。これは別にけなしているわけではなくて、プテラノドンに引っ張られるというテーマにはあっていますし、うつ伏せ型でしか味わえない恐怖感ですので、これはこれでアリ。

 

敷地の制約なく設計された汎用機であるアクロバットは、「フライング・コースター」の名の通りふわりふわりと空を飛ぶような、変に継ぎ目のない完成されたレイアウト。

それに対してすでに完成されたテーマパーク上に設置し、柱を置く位置にまで制約があったフライング・ダイナソーはエレメント間が断絶された不連続性がありつつも、そのおかげでうつ伏せでないと体験できないスリルを味わえる。

見事に棲み分けができています。

 

 

3. 少しでも怖さを抑えるために

フライング・ダイナソーは日本でも屈指の「怖いコースター」ですので、スリルが苦手な方は乗らないのが懸命です。

しかしながら、友達付き合いで乗らざるを得ない、怖いのは苦手だけど一度は乗ってみたいという方もいらっしゃるかもしれません。

そんな方のために、怖さを少しでも抑える方法をご紹介していきます。

 

特に怖い、2ndドロップ時のフライ・トゥ・ライからのインサイド・レイブン・ターンと、その後のプレッツェルループ。これらはいずれも、速度が速ければ速いほど怖いエレメントで、しかも車両の後ろにいけば後ろにいくほど速度が速くなります。

ですので、怖さを抑えたい方はできるだけ前に乗るのが鉄則。なのですが、座席は選べません……。

 

というわけで、それ以外の対策を。

まずは、頭から落下しますし、うつ伏せで真っ逆さま、仰向けで真っ逆さま、さらには仰向けの状態でお腹にGがかかるなど、様々なことが起こります。これらをしっかりイメージして、覚悟をしておきましょう。何が起きるのかを知っているのと知らないのとでは、恐怖感が大きく違います。

予想を裏切るような動きをされないよう、予め敵を知っておくのです。

 

話は矛盾するようですが、身構えつつ、リラックスすることも大事。

「うつ伏せで気持ちよく空を飛ぶんだ」という感覚でいるだけで、恐怖感は多少軽減されます。

 

リラックスと同時に大切なのは、できるだけ遠くを見ること。

フライングコースターは目の前に、前列の人のケツが見えているので視野が狭いのですが、それでもできる限り遠くを見ることが大事。

空中でダイナミックに滑空するコースターの動きを楽しみながら、遠くを見て空を飛んでいるイメージを感じましょう。コースターが苦手な方にとっては非常に難しいことなのですが、これができるとどんなコースターでも気持ちよく乗車できるようになります。

 

最後に、フライング・ダイナソーはかなり激しいアトラクションですので、酔いやすいです。

ハリー・ポッターにスパイダーマン、ミニオンズにXRライドと酔いやすいアトラクションが多い中でのど迫力コースターですので、苦手な方は間違いなく酔います。

心当たりのある方は、酔い止めの準備をお忘れなく。

 

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