授業の理解度・学習効率は最初の2分で決まる!
こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。
この記事では、学習効果を最大限に高めるためには、授業の最初に「目的」を述べるべき、というお話をご紹介していきます。
授業の最初、たった1, 2分の話の内容で、生徒の理解度には天と地ほどの差が生じます!
五里霧中の板書写しは苦痛でしかない!
世の中には「目的のない」授業のなんと多いことか。
「枕」もなく、いきなり本題に入ってしまう授業が非常に多いのです。
あっても、「今日は過去形をやります」とか「因数分解の話をします」とか、その程度。
ただ、私自身もそうした授業でも理解できてしまっていたので、特に違和感もなく過ごしていました。
学習塾で、そんな「目的のない」授業をしていたこともありました。
こうした授業の違和感に気づいたのは、大学1年生時に受けた線形代数の講義。
「何をしようとしているのか」という説明もないまま、ゴリゴリと行列の変換が行われていきました。
何がしたいのかもわからないまま、ただひたすらに数字の配置を変える作業を90分もさせられ続ける。
まさに真っ暗闇の迷路を、「ゴールを目指せ」という指示もないまま、手探りでさまよっているような状態です。
授業の最後に、ゴールに辿り着いてはじめて、「ああ、ゴールを目指していたんだな」と気付かされます。
そうして目的を知ったところで、今までの作業にはどんな意味があったのか、再び最初から辿って追いかけていくことではじめて、講義内容を理解できるのです。
完全なる二度手間! しかも講義中の90分はまるっきり苦行!!
大学の講義ならいざしらず、小中校の学校での授業や学習塾での授業で、このような苦行、意味のない二度手間を生徒に強いてはいけません。
授業の最初に迷路を上から見せてあげて、ここにあるゴールに向かうんだよ、ということを教えてあげるだけで、苦行は理解する楽しみへと変わるのです。
学問体系を下から積み上げてはいけない
教科書は、学問体系を下から1段1段登っていくように書かれています。
キレイに整理されているのですが、初学者にこれをそのままの順序で教えてしまうと、途中でモチベーションを失ってしまいます。
例えば、以下の2つの説明を比べてみてください。
電子銃から電子を放出させ、収束レンズで電子線を絞り、偏光レンズで電子線照射位置を決め、目的の蛍光素子を光らせることでブラウン管テレビは映像を映し出します。
ブラウン管テレビの原理を考えてみましょう。画面の裏には蛍光素子があります。この素子1つ1つを光らせることで映像を映し出しています。蛍光素子を光らせるためには、電子線が使われます。電子線は電子銃から放出され、収束レンズで絞られ、偏光レンズで位置を決めて蛍光素子に照射されます。
文字数が違いますので条件が平等ではありませんが、後者のほうがわかりやすいですよね。
前者は最後の最後までなんの説明をしているのやらサッパリで、文章を読むのが苦痛ではありませんでしたか?
しかも内容を理解するためには、最後まで読んだあとで、もう一度最初から読み直す必要がありますよね。
「目的のない」授業は、極端に言えば、上記例の前者に対応しています。
なんのことを話しているのかサッパリわからないまま、よくわからない説明をひたすら理解し続けなければいけない。
よほど芯を持った生徒でない限り、途中で挫折してしまいます。
説明の順番をひっくり返してあげるだけで、内容はわかりやすくなりますし、授業を聞き続けるモチベーションも大幅にアップします。
スピーチの指導でも、よく「結論を先に言え」ということが言われますよね。
スピーチよりも圧倒的に長い時間をかける授業では、なおさら目的を先に言わなければ生徒がついてこないのは当たり前です。
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どうやって「森を見せる」か
ここまで読んで、「そんなことはわかってる」と思われた方も多いのではないでしょうか。
おっしゃる通りです。ここまでは常識的なことしか述べていません。
問題は、「どう目的を説明すればよいのか」「目的とはなんなのか」といったことなのです。
例えば、中学校の数学で学ぶ「因数分解」の目的ってなんでしょうか。
2次方程式、ひいては高次方程式を解くため?
それでは生徒は納得しません。なんで2次方程式を解かなければならないのでしょうか。
歴史的には図形の面積を引き合いに出すのが正しいのですが、イマイチ現実世界とのつながりが感じられません。
やはりここは、ガリレオ・ガリレイの落下運動の法則「物体の落下距離は落下時間の2乗に比例する」を持ち出してくるのが良いように思います。
例えばとある工場で、ベルトコンベアに乗って流れてくる商品の上に、ある部品を上から落下させて乗っける必要があります。落下距離はわかっています。では、商品が真下に来るタイミングの何秒前に部品を落下させ始めればよいでしょうか。
これを解くためには、どうしても2次方程式を解く必要が出てきます。別に詳細を説明する必要はありません。「最終的にこういうことにつながるんだよ」という雑談程度で良いのです。
図形の問題に落とし込むにしても、例えば自転車のタイヤの設計をするために、スポークのうち2本について、円周上での距離を決めたいとか、身近な素材でかつ生徒が自分の将来に関係しそうだと思うような内容を例に取ると、モチベーションにつながりやすいです。
その問題を実際に解くかどうかは別として。といいますか、これらの例はあくまで動機づけに使うだけであって、実際に得演習問題としてはあまり適切ではありません。
こうした現実世界と結びついた目標、ゴールを設定し、明確に示してあげることで、学ぶことへのモチベーションが生まれます。
さらに、そこへ至る道筋、ここでは2次方程式を解くためにはA×B=0の形を作ってやる必要があり、そのためには因数分解が必要であるというステップを明確にしてあげることで、今自分がその中のどの段階にいるのかが明確になります。
生徒の頭の中に地図を作ってあげて、さらにその中でGPS位置表示をさせてあげるのです。
さらに細かく言えば、様々な数式を因数分解するためにはいくつかの手段を学ぶことが必要で、そのうちのどれを今日の授業で扱うのか、明確にしてあげることで毎回の授業で一歩一歩積み上げていく達成感を得ることもできるようになります。
そんなことを全科目・全単元でできるのか
そうは言っても、全単元で目的なんて明示できないよ、という方もいらっしゃるかもしれません。
ある程度はこじつけっぽくなってしまっても問題ありません。
五里霧中状態を抜け出せるだけで、生徒たちは前を向いて、話に聞き入ってくれるようになります。
それでも目的付けのやり方がよくわからない、思い浮かばない、という方のために当サイトでは様々な科目・単元の目的付方法をご紹介していきます。
目的明確化に関するまとめページに、様々な記事へのリンクをご用意しますので、ご覧になってみてください。
また、特殊な事情があって一般的な方法では目的付けが難しい方、当サイトの内容だけでは目的付けがうまくできないという方など、当サイトのコンテンツではカバーしきれない方のために、教育相談の制度をご用意しました。
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