論理的思考は家庭内の日常会話で鍛える ー 「会話レポート」法
こんにちは、ricebag(@ricebag2)です。
いわゆる応用・思考型問題や記述式問題を解いたり、ひいては社会に出てから仕事をする際にも必要になる論理的思考力。
なかなか学校や塾、家庭内学習だけで鍛えていくのは難しい能力なのですが、実は家庭内での会話を少し工夫するだけで、週に1回30分という僅かな時間で驚くほど簡単に鍛えることができます。
今回は、そんな簡単に論理的思考力を鍛える方法「会話レポート法」をご紹介していきます。
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会話でレポートを作る
方法は極めてシンプルです。
お子様が「何でだろう?」と疑問を持ったことについて、原理原則に行き着くまで、ひたすら理由を考えていくだけ。
これだけで、各科目のつまづきやすいポイントをクリアするだけの思考力を身に着け、更には応用型の問題にまで対応できるようになります。
問題解決に適した思考法を身につけることができますので、社会に出てからも役立つ、一生モノの能力育成ができるのです。
どのような会話スタイルで話を進めていくのかについては、以下で具体例を用いてご紹介していきます。
テーマはどんなものでも構いません。
日常生活で「何でだろう?」と思ったことをピックアップすればOK。
幼児~小学校低学年であれば、ご両親からテーマを与えて、慣れてきたら自発的なテーマを採用します。
なかなか粘り強く考えることに対して抵抗感があったり、早々に飽きてしまったりするお子様もいらっしゃるかと思います。
そういった場合には、週に一回「考える時間」というものを設けて、その間は途中で諦めない・投げ出さないということをルールにしておくと、集中を持続させるトレーニングにもつながります。
細かなテクニックは具体例を使ったほうが説明しやすいので、ここからは電車に乗っていてふと抱いた、「なぜ鉄道のレールは2本なのか」という疑問を例にとって進めていきましょう。
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具体例: なぜ鉄道のレールは2本なのか
テーマ設定は、慣れないうちやお子様が小さいうちはご両親から提示し、慣れてきたらお子様からの自発的なテーマを採用するのが良いでしょう。
自分でテーマを探すこともまた、問題発見能力のトレーニングになります。
論理の問題: テーマを言い換える
テーマを解くために考えるべき命題は、できるだけ自ら導き出せるようにガイドしてあげましょう。
ここでは「他に良い手はないか」という雑なガイドをしていますが、これは慣れてきた段階。まずは手を取り足を取り、丁寧に導きます。熟練してきたら、ガイドがなくても導き出せるようになるはず。
ちなみに、ここでは「あるレール形状が鉄道に最適である⇒レール形状は平行2本線である」というテーマに対して、「レール形状は平行2本線ではない⇒レール形状が鉄道に最適ではない」という対偶を示すことで、テーマが真であることを示していきます。
このように、テーマを解きやすい命題に言い換えることは、数学論理の練習にもなっているのです。
解きやすい命題を簡単に導けるようになってきたら、高校レベルの論理を教えてあげて、A⇒Bなどの形で答えられるように促してあげるのが理想です。
ここがキモですし、ガイド役の腕の見せ所です。キチンと論理的に解くことができるよう、正確にガイドをしてあげてください。
わからなければ「調べる」ことで調査スキルを鍛える
1つ1つの問題は、できるだけ深く掘って原理原則に行き着くまで問いかけていきましょう。
ここでお子様は嫌になってしまいがちですが、トコトンまで追い詰めて理解できる喜びを一度知れば、それ以降はあまり嫌がらなくなります。とにかくまずは一度、最後まで詰め切ることが大切。
これをご両親だけでやろうとするとあまりにも膨大な知識を要求されてしまいますので、場合によっては一緒にネット検索をするなど、「調べる」という作業を加えることをオススメします。はじめは一緒に検索をしてあげて、わからないところはご両親が解読して説明してあげる。徐々に慣れてきたら1人で検索をしてもらう。そうして検索ワードの選択スキルや情報の取捨選択能力等もアップしていきます。
最後まで突き詰めよう
それでは、一度最後まで話を進めてしまいましょう。
詰まってしまったら、少し考える時間をあげた上で、うまく誘導するか上記のように検索を活用してみましょう。
足の幅が狭ければバランスが悪いというのは、お子様だけでなく、我々も「当たり前のこと」として習慣的に考えてしまっていることです。
これを疑うことができれば、ひとまずのところの目的は達成です。「当たり前を疑い、原理原則だけをベースにして論理的に考える」ことができれば、入試はおろか将来物理学者になったとしても通用する思考力が身につきます。
各科目のつまづきポイントは、大抵は本人の思い込みに由来します。常識だと思っていたことが実は本質ではなかったために、それまでの常識で考えるとおかしなことになってしまうのです。その常識自体を疑う思考法を身につければ、勉強でつまづくことはほとんどなくなります。
更にこうした考え方を習慣化することで、日常的に論理思考ができるようになり、自発的に誤った「当たり前」を正していくことができるようになるのです。
しばらくはちょっと面倒くさいお子様になってしまうかもしれませんが、そこは別の手段で処世術を身に着けてもらうことでカバーすべき。論理的に思考できることと、それを表に出さずにうまく世に処することができるかどうかは、全く別の力です。
ここから先、どの程度までお子様と一緒に考えるかは、そのお子様の忍耐力や背景知識等によっても変わってきます。以下に段階を追ってリストアップしておきます。
- 「重心」という概念を教える
- 重心がどうなると転倒するのか、一緒に考える
- レールが1本でも転倒しない方法はないか、考えてみる⇒跨座式モノレール
- 静止時の重心が2本のレール内にあれば、絶対に転倒しないのか考える
- (中学生以上なら)慣性力・遠心力・力の合成などを組み合わせてカーブでの転倒について考える
もう1点、「なぜ3本以上ではダメなのか」についても考えておく必要があります。
こちらは車体重量増加や機構の複雑化、レール敷設費用増加など、シンプルな理由が多く思いつきますので比較的簡単に結論に行き着くことができます。これらのデメリットに対して、メリットがなにもないというところがポイント。
今回のテーマは、説明のためにいろいろ網羅しようとしたためにボリューミーですが、慣れないうちはもう少しシンプルなテーマを選定してあげたほうが良いかもしれません。
テーマの例
はじめのうちは、ご両親からテーマを提示してあげたほうがスムーズに進みます。
その例をいくつかあげておきます。
・車のドアはなぜ後ろから前に向かって開くのか
対象は人工物であっても構いません。
むしろ、工業製品のデザインは何らかの意図があって行われていることが多いので、テーマとして簡単ですし、ハッキリした答えを導きやすく、達成感を得やすいのです。
さらに設計意図を探る思考は、受験をターゲットに考えれば作問意図を探る思考につながりますので、効率的な得点獲得にもつながります。
ちなみに、車のドアには前から後ろに向かって開くものもありましたが、これは万が一走行中に開いてしまうとそのまま全開になってしまう危険性があります。現在では走行中に開いても自然に閉じる、後ろから開く形式が広く採用されているのです。
もちろん他にも乗降性等の理由も考えられます。そうした様々な要因を考えることも、この手法の目的の1つです。
・自由貿易のメリットって何?
ちょっと難しいテーマですが、政治や経済、歴史などであっても生じた疑問についてとことん考えることで、会話レポート法の目的を満足することができます。
この場合は答えのない議論になりますので、とにかく考えられる項目をひたすらあげていくこと、ちょっと飛躍のある議論があれば、その点について突き詰めることで効果が上がります。また、誰にとってのメリットなのかを明確にすることも大切。
とにかく日常で少しでも疑問に思うことなら、なんでもテーマになります。
テーマを選定したら、
- 工業製品⇒設計者の意図
- 自然現象⇒原理に基づく説明
- 政治経済⇒誰にとってどのようなメリットがあるのか多方面から
- 歴史⇒事象が起きた背景と、どのような文献から解読した情報なのか
など、結論までのストーリーをサッと作ってから挑むとスムーズに進みます。
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サポートを徐々に減らす
最終目標は、テーマから結論まで、一連の流れをお子様が単独で話すことができるようになること。
「口頭レポート」と言っても良いでしょう。
週に1度の「考える時間」を5年、10年と続けていけば、高校生になる頃には大学のレポートレベル、あるいはそれ以上のことを、サポートなく単独でできるようになるはずです。
そうなったら、ご両親はもう、時々論理の飛躍を指摘する程度で十分。お子様本人が自らの力でグングンと成長していける段階に入ります。
会話レポート法をはじめて慣れてきたら、徐々にサポートを減らしていきます。
本人が自らストーリーを作っていくことができるように導いていくのです。
時折、事前準備ができないよう、ご両親からテーマを与えて即興でストーリーを構築してもらうのも1つのトレーニングになります。これができるようになると、小論文や面接等の対策にもなりますので、就職活動まで見据えて絶大な効力を発揮します。
サポートが難しい場合は
会話レポート法はご両親のサポートが何より重要な手法です。
途中で誤った方向に導いてしまうと効果半減どころか、論理的思考を妨げる逆効果を生みかねません。またサポートをしながら苛立ってしまったりすると、お子様が考えることを嫌がるようになってしまう可能性すらあります。
適切なサポートには、ご両親にも膨大な知識や思考力、調査力などが要求されます。場合によっては下調べ等を行う必要があるかもしれません。
そうした事前準備やテーマ選びに時間を割けないという方。
あるいは適切にお子様を導いていく自信がないという方。
当サイトでは、そんな方のためにご両親向け相談サービス・テレビ会議を介したお子様の直接サポート等も行っております。
詳細は以下のご案内ページをご覧いただき、何なりとご相談ください。
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